analogue life

シンプルな暮らしとフィルム写真のこと

東ドイツ製のレンズは最高なのだ

コレクターやマニアの世界を除けば、同じものを買う人なんて世の中にそうそういないと思う。 お金出して同じもの買う大人って馬鹿だなぁアホだなぁ消費の奴隷だなぁ資本主義の犬だなぁ…なんて思っていた僕もついに馬鹿な大人の仲間入りを果たした。同じレン…

夢の中だけで会う男の子

遠くの山から届くアブラゼミの鳴き声は耳鳴りと混じり合い頭の中を駆け巡る。 大きな眩暈。台所から聞こえる家内の話し声と、手を伸ばせば届く距離から聞こえる幼い女の子の笑い声。そろそろ小学生高学年の男の子が帰ってくる時間だ。 うっかりソファで眠っ…

美しい写真のこと

そういえばこのblogは写真blogだったのに調子に乗ってラジオの話ばかり書いてしまった。それだけTivoli Audio PALが素晴らしいプロダクトだったのだ。買ってからそろそろ一ヶ月が経過するけど寝室で充電しながらラジオを聴いて、朝起きたらプラグを抜いてリ…

喪失のスケジュール

突然降りかかったアクシデントにより「すわ一大事!」になる状態を世間的には人生のピンチと呼ぶと思うんだけど、最近の自分はじわじわと真綿で首を締められるように苦境に陥っていて、自分ではどうすることもできない蟻地獄に落ち込んでいる。 突然職を失っ…

Tivoli PALのレビュー

最近自分のラジオ愛を文字に起こしている一方で「やっぱりラジオなんて今時誰も見向きしないよね」なんて不貞腐れてたら、Tivoli Audio PALを買った話をはてなブログさんにツイートして頂き有頂天になったので、せっかくだから続きを書いてみようと思う。 今…

21世紀にラジオを買う

ラジオをメディアの座から追い出したテレビがネットに駆逐されかかっている21世紀においてまさかのラジオ専用機であるTivoli Audio PALを買った。RadikoやSpotifyのストリーミング放送を受信するスマートスピーカーではない。アンテナをぐいっと伸ばしてFM/A…

機材なんてなんでもいいじゃない

そういえば最近Photo Yodobashiを見なくなった。 デジタルカメラの売上がここ数年で極端に落ちてしまったからか、久しぶりに覗いてみると更新の速度が昔ほどではなくなっていて熱量もなんだかトーンダウンしているようだ。いくつか上がっていた中華圏と思わ…

私たちはガラスの檻の囚人なのだ

ショシャナ・ズボフ著「監視資本主義: 人類の未来を賭けた闘い」を読み直している。 ひたすらに長い上に似たような話が何度となく蒸し返されるのに日本語訳は¥6,000を超えてくる。あまりにも冗長なので「こっちの方が安いからー」なんてカッコつけて原著で読…

ラジオのある生活

フィルム写真とは関係ない話。突然だけど僕はラジオが大好きだ。 一応我が家にもテレビなるものがあるけど、事件事故だとか地震があった時くらいしか地上波放送を見ないので、稼働時間は1週間のうちで1時間くらいだ。 自分の過去を振り返ってみると、(変な…

考え事は夜にとっておく

私はどちらかと言えば引っ込み思案だと思ってる。 外篭り体質なので「引っ込み」ではない一方、ひとつのことを「思案」し過ぎてしまうので物事に取り掛かるまで人の2倍くらい時間がかかる。気がついたら物事が目の前で終わってるし、なんなら撤収作業まで完…

Bessa R3Aのこと

最近Bessa R3Aをまたよく使うようになった。 M6を使うようになってから比較的うるさいシャッター音だとか手動で切り替えるブライトフレームが不便だったこともあり道具箱の中で2年くらいスヤスヤ寝ていた。使わないのは勿体無いのでebayに出品しようとしたり…

街と人と展が終わった。

『街と人と』展は大盛況のうちに終わった。 最後の土日しか在廊できなかったけれど、自分が滞在していた間はギャラリーから人が外に溢れていて、エアコンもこの熱気を冷ますことができない状況だった。作家と観衆が凄い熱量の中でがっぷり四つに組んで前にも…

展覧会『街と人と』は明日まで

壁から天井までこれでもかとプリントで埋められている『街と人と』展は、四ツ谷のTotem Pole Photo Galleryで明日まで。 本日土曜日は物凄い数のお客さんが足を運んだようで、会場の熱気が凄いことになっていました。 今回でこの企画は一度終了するようなの…

我が家の本棚

我が家はとても狭いので持っている本を全て本棚に並べることができない。世の中にはそれこそ貪るように本を読む方が沢山いて、そんな方々と比べちゃうと自分の読書量や蔵書は足元にも及ばないのだが、ありあまる蔵書の量に頭を抱え合板で床から天井までの本…

【告知】写真展にお邪魔します

2022年6月21日から6月26日までの6日間、四ツ谷のTotem Pole Photo Galleryで開催される「街と人と」展にゲストとして参加させて頂くことになりました。 この2,3年ほど「今年こそ何か活動をしなきゃ…」とこのblogでも度々ぼやいていながら、あまりに忙しい私…

価値ある愛おしい物たち

今週のお題「人生で一番高い買い物」 そういえば今まで買ったもので一番高かった買い物ってなんだろう。 駅前のコンビニで買ったガムからうっかり買ってしまった高額なシャツまで価格の大小はあるけれど、私たちは毎日どこかで買い物をしている。 人生で一番…

生きづらさの内訳

写真ではなく自分の話。 転職サイトのindeedに載っていた適職探しのための性格診断をやってみたら思いの外面白いことが書いてあって、いい歳してじっくりと読み込んでしまった。自分が世間のことに興味がなさすぎて知らなかったのだけど、少し前からいろんな…

最初の写真集

コロナ禍が初まる直前の2019年末頃から2022年の初めくらいまでの間、街をぶらぶら歩きながらRolleicord IVとHASSELBLAD 500C/Mで撮っていた写真を1冊の写真集としてまとめました。写真をレイアウトして校正をかけて、確認用と自分への記念にまず2部製作しま…

白昼夢もしくは明晰夢、断片的で手繰り寄せられないもの

この世は夢なんじゃないかと思うことがある。 何を寝ぼけたことを言ってるんだと鼻で笑われるかもしれないけれど、あまりに慌ただしい日々を見切り発車でこなしているうちに時間があっという間に飛んでいき、目の前を過ぎていったことをはっきり覚えていない…

ぽつんと暮らしたい

ぽつんと暮らしたい欲が最近盛り上がっている。生活全てを一気に移すとなると大変なので小屋くらいのサイズの住処を人の手が届かないところに持ちたい。 ソロキャンプが流行ったからだとかポツンと一軒家がすごい視聴率を取ってたから…と言う理由ではなくて…

海と子供

この世に生を受けて2年目の友人の子と友人と僕でいつもの浜へ向かった。 今日はこの子が初めて海と対面する日だ。僕と友人は彼に海を見せたくて、この子が初めて見る海にどんな反応を示すのかということに胸を躍らせながら電車とバスを乗り継いだ。 物心つい…

ORWOのウェブストアがオープンした

ORWOがウェブストアを開設したようだ。 あまり耳馴染みのないブランドかもしれないけれどORWOと書いてオルヴォと読む。オリギナルヴォルフェンの略で、元々アグファのヴォルフェン工場が母体となりその後の東側のフィルム産業を支えた会社だ。 私もORWOのフ…

シネマフィルムをカメラに詰めて海へ

随分前に映画用フィルムの話を書いたらはてなブログの公式ツイッターに取り上げて頂いた。 このブログはフィルム写真、特にモノクロフィルム写真に特化していることからあまり日の目を見ることがないのでとても嬉しかった。キラキラした写真も綺麗なモデルさ…

日本から転出する同僚に寄せて

かつて一緒に働いていた同僚がニューヨークで仕事を見つけたので家族と一緒にあちらに移るという話を聞いた。なんでも子供の将来と教育を考えた結果の決断なのだそうだ。長い間悩み続けたのだろうけど、何か吹っ切れたような彼の口調はとても爽やかだった。 …

春を前に気を病む

毎朝家の玄関を出る時、私達は一体何枚の仮面をポケットに詰め込んでいるんだろう。 私達は飛び込むコミュニティごとに口調を変え話し方を整え、思いをねじ曲げて作った理屈を型枠に詰め込み都合の良い言葉でそれを語り、時には意志と異なる薄ら笑いを作って…

ライカをぶら下げて出掛けよう

桜の季節は悩ましい。 撮るものがストリートだとか海辺の写真に固定されてる私は自動的に持ち出すカメラが決まるので普段は何も悩む必要がないんだけど、あっという間に見頃が過ぎ去ってしまう桜の季節は特別。 お弁当から桜まで何でも撮るにはNikonだけど……

新木場もくもく訪問

私は既製品の無難な額縁がどうにも肌に合わず、自分のプリントのためだけに額縁も自作している。エキゾチックな木材や主張の強い材が好きなんだけど、ネットのカット販売は面白い材があまりないしそもそも実物を見ないことには納得した買い物なんてできない…

標準レンズってなんだっけ

50mmレンズばかり買ってしまう人がいる一方で、50mmが苦手という人も多いらしい。 自分が写真を始めた時は50mmが標準レンズと呼ばれていて、上達するためにはまず50mm単焦点を買いなさいと言われていた。この言い伝えはそんな大昔の話じゃなくて、多分10年く…

徘徊癖

ふと気が付くといつも海辺にいる。 毎日常に誰かに話しかけられ仕事とトラブルに追いかけ回されていると、自由になる時間は誰とも会いたくないし会話もしたくない。スケジュールなんて見たくもないし時計も気にしたくないし、疲れがひどいと家族から話しかけ…

生活のサイズを小さく畳む

あなたは働き者のアリかそれともキリギリスか?と問われたら、私は間違いなく働き者のキリギリスだと思う。心と身体を削って働きまくって稼いだ金は江戸っ子のように使いまくるという性分のままいい大人になってしまったから。 必要なものなら買うぞ!金を使…