analogue life

シンプルな暮らし

私たちはガラスの檻の囚人なのだ

ショシャナ・ズボフ著「監視資本主義: 人類の未来を賭けた闘い」を読み直している。

ひたすらに長い上に似たような話が何度となく蒸し返されるのに日本語訳は¥6,000を超えてくる。あまりにも冗長なので「こっちの方が安いからー」なんてカッコつけて原著で読もうとした自分をぶん殴ってやりたい。ページをめくってもめくっても終わらない。

何かの間違いで自分に権力が転がり込んだらGoogleはじめMicrosoftAppleFacebookの偉い人を並べて片っ端からぶん殴ってやりたい、俺はお前らの安っぽい資源じゃないぞと叫びながらぶん殴ってやりたい。ページを捲るごとにそんな気持ちになること請け合いの本だ。GAFAの中でもamazonはまだ泥臭さが残る実業なので情状酌量の余地があるが、FacebookGoogleAppleなんかは虚業の色合いが強いのでメリケンサック付きでぶん殴るかツルハシでフルスイングしてやりたい。

ちょっと高いけど日本語で読むことをおすすめしたい。この文章をこのボリュームと重量感ある内容を日本語にした訳者は素晴らしいと思う。

ズボフの主張をざっくり要約すれば、インターネットは既に私たちのツールではなく巨大なIT資本のためのツールなのだ。

日々の私たちの検索や位置情報、行動や購買する商品の嗜好、ものを買う時間や場所、広告のクリック数や購買に至る時間は全て計測され機械学習を濾されてデータとして生成される。生成された断片のデータは統合され、私たちの過去の行動から「未来の行動予測」をAIが割り出していく。

この結果は私たちに広告を押し付けるだけにとどまらず、思想にあったおすすめ動画をさりげなく私たちに視聴させ投票行動すら左右する。未来予測は既に政治家にとってなくてはならない存在であり、彼らは既に巨大IT資本の奴隷のような存在なのだ。

スマートフォンは巨大IT資本と私たちをつなぐ窓のような存在であり、いわば「センサー」の役割を演ずる。もしこのセンサーがスマートフォン以外にも進出したらどうなるだろう?

いつの間にか各家庭に浸透したスマートスピーカーにはスマートフォンのようにマイクが内蔵され、私たちの会話や生活音を収集している。マイクやカメラ、位置情報、動作ログは私たちの生活にいつの間にか忍び込んでいて、私たちはSNSを通してあるいはスマートデバイスを操作することで自主的に私たちの行動を送信している。

スマートスピーカー同様にIoT家電は私たちの行動を収集する。

鍵を開ける時間や車を出す時間、車の運転ログ、エアコンをつける時間や設定温度、シャワーを浴びる時の行動だっていくらでも収集できる。収集した私たちの行動の断片は機械学習により整理され、AIによりもう一つの「私」が生成される。

巨大IT資本はプライバシーを保護すると声高に叫ぶけど、本書には彼らが行ってきたプライバシーを無視した行動とその実例がたくさん書かれている。

私たちはコンセント裏に仕掛けられた盗聴器には恐れるくせに、日々手放せないスマートフォンスマートスピーカー、IoT家電に対しては恐ろしく無防備だし、巨大IT資本に対して無警戒すぎる。つまるところ、今の私たちはガラスの檻に自ら喜んで入る囚人なのだ。

通勤電車のつり革に捕まる男女の腕に巻かれたApple Watchをぼんやり眺めながら、自由で開かれたはずのインターネットはこの世界から消えていると考えている。なんだかディストピアっぽい世界にずるずる引き込まれているような気もする。