analogue life

シンプルな暮らしとフィルム写真のこと

海と子供

この世に生を受けて2年目の友人の子と友人と僕でいつもの浜へ向かった。

今日はこの子が初めて海と対面する日だ。僕と友人は彼に海を見せたくて、この子が初めて見る海にどんな反応を示すのかということに胸を躍らせながら電車とバスを乗り継いだ。

物心ついた頃には海が当たり前のように身近にあった僕は初めて海を見た時のことなんてまるで覚えていない。海のそばで生まれ育った私の友人も、あまりにも海が当たり前の存在すぎて覚えていないという。

LEICA M6/Summaron-M 35mm F2.8/Kodak Double-X 5222

まだ言葉を話せない彼がきゃあっと大きな声を出して波打ち際に向かう。

危ないぞと抱き上げた瞬間の写真を後ろから撮った。お揃いのマリンボーダーを着た子供の後ろ姿が愛らしい。足裏がまだ汚れていないので、まさにこれから初めて海に足をつける瞬間の写真だ。

この子はきっとこの日のことなんてすぐに忘れてしまうだろう。自分の子供ではないけども、彼の記憶の彼方に消えてしまい永遠に思い出すことのない記念すべき日をフィルムにきちんと焼き付けておくことができて嬉しい。

押し寄せた小波がくるぶしを洗い、引き波が足元の砂をさらっていく様子が楽しかったのだろう。ブゥオーン!ブゥオーン!(興奮すると車の真似をするらしい)と彼なりの方法で興奮を表現する子供。ひとしきり遊んだ後、少し大きな波で尻餅をついたところで彼の海との対面は終了した。

海に会いたくなったらまた遊びにおいで。