analogue life

フィルムが捉える世界は美しかった

半径Xキロメートルの風景

自粛の呼びかけが始まってからというもの街を歩く人の数が驚くほど減った。
自粛に関してはいろんな切り口で様々な意見があるだろうけど、なんの補償もない「おねがい」をすんなり大人しく聞き入れる国民性はとても恐ろしいのではないかと感じている。
ある日急に日本国民は出国禁止とか言われても、いまの日本人なら「わかりました」とすんなり聞き入れちゃいそうだもんね。で、頼まれてもいないのに勝手に隣組が組織されて民間警察やり始めるの。「俺はそんなの認めないぞ!」とか言うとどこからとも無くこの隣組がワラワラやってきて村八分にされるの。

3.11の時の不謹慎自警団だとか今の自粛警察の活動を見てると、連中自分で物事を考えることを放棄しちゃってるもんね。ありえない未来とも思えないところが怖いよ。

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HASSELBLAD 500CM/Planar CF 80mm/FUJI ACROS II/Silversalt Dev.

もともと私自身ここ数年は自由にあちこち行けない立場なので、移動自粛をお願いされたところで休日に電車を使わなくなる程度しか生活は変わっていないし、むしろ出勤に割く時間やら無用なコミュニケーションに費やす時間が無くなったお陰で、一人で物事を考える時間に当てられたり、いままで手付かずだった身の回りのことや家の整理が出来て助かってるんだどね。
いいよね、自粛。いまのところは。

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HASSELBLAD 500CM/Planar CF 80mm/Kodak Tmax 400/Silversalt Dev.

不自由の中で見つけたこと。

真面目に写真に取り組む多くの人たちと同じく、私も長らく自分の写真のテーマなんてものに悩んでいる。

秘境の写真とかアジアの田舎の写真を撮ってる人をSNSなんかで見かけるたびに「あぁ、自由があるっていいなぁ。撮る写真に一貫性がある人っていいなぁ」とため息をついていたのだけど、自粛生活でより家にいる時間が長くなる中で実は私の写真のテーマって身近なものの中に宿っているのではないかと思い始めた。
もちろん思い描いた場所に赴いてシャッターを切ることは素晴らしいけれど、私に出来ることは良くも悪くも身の回りの風景を拾い上げることしかない。私の場合は海辺の街の日常を切り取ること。

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HASSELBLAD 500CM/Planar CF 80mm/Kodak Tmax 400/Silversalt Dev. 

この人の少なさが続けばいいのに

…なんてこと言ったら不謹慎警察に掻っ攫われて晒し者にされるかもしれないけど、花火にしても夏の海にしてもタイフェスにしてもここ10年くらいでイベントというイベントが意味不明に混雑するようになったじゃない。
10年くらい前は代々木公園のタイフェスなんてそんな人いなくて芝生で寝転んでパッタイ食えてたし目黒川沿いの桜も地元の人ばかりだった訳で、何かイベントがある度に近郊に住む人がガーッと移動してくるここ10年くらい風潮はやっぱりおかしいよねと思っている。
加えてここ最近はインバウンドに舵を切りすぎたせいで、日本の街並みが出所不明の怪しい外国人と土産物屋ばかりになっちゃった感があるので、コロナ騒ぎを機会に一度世の中が巻き戻ったら素敵だなと思っている。 

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HASSELBLAD 500CM/Planar CF 80mm/Kodak Tmax 400/Silversalt Dev. 

この記事の中で使ったフィルム&機材

Kodak Tmax400

中判フィルムでISO400のフィルムというと、このフィルムを除けばTriXかイルフォードのデルタ400かHP5+かフォマパンくらいなので選択肢は5択。中でもTmax400は最近買ったSilversalt現像液との組み合わせが素晴らしく、価格が高いのなんのとブツブツ文句を言いながらもついつい買い足してしまうフィルム。SPURから最近発売された新しいTmax専用現像液との組み合わせも気になるところ。

Fuji ACROS II

残念ながら廃盤となっなACROSの後継フィルム。驚くようなシャープネスは先代譲りだが、コントラストは先代より強くよりモダンな印象。イギリス製なのでもしかしたらILFORDへ製造を委託しているのかもしれない。出てくる写真は素晴らしいけど1本売りのお値段は¥1,040…た、高い。

MARUMI アダプターリング B60mm →67mm

HASSELBLADのCFレンズはフィルター径が60mmなので、各種フィルターをつける際はアダプターが必要。CFレンズを買った際はお忘れなく。

Kenko NDフィルター PRO ND4 67mm

晴れた日の海辺で写真を撮るときはNDフィルター必須。スローシャッター写真やる人も必須。

SIlversalt Developer

SHADOWmaxと同じくSPUR社製の現像液。2019年にもなって新しいモノクロ現像液がリリースされることも凄いけど、トーンの美しさやモダンなシャープネス、使い勝手の良さが最高に素晴らしい現像液。最近こればっかり使っている。

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www.silversalt-dev.silversalt.jp

アフターコロナの社会

メディアではしきりに「コロナ騒動が早く収束し1日も早く元どおりの暮らしに…」と喧伝するがコロナ禍は戦争や今までの天災と違い収束の目処が立ちにくい災害ではないだろうか。
大多数の人に免疫が形成されること、ワクチン開発が完了し抑え込むこと…等々様々な収束に向けたシナリオと収束見込み時期が語られるが、良くも悪くもコロナウィルスの騒動が一旦収束した後の世界は私たちが今まで暮らしてきた世界とは別物になるのではないかと考えている。

courrier.jp

このブログはフィルム写真に関するトピックを扱うために立てたものであるが、コロナ禍後の日本の行く末について自宅勤務の最中に縁側から空を眺めて思ったことを綴ろうと思う。
この記事中に写真の話は一行たりと出てこないこと、以下は私が無責任に頭の中で繰り広げた未来絵図であることをご理解いただきたい。

大規模小売店

家電量販店や百貨店は当面苦境が続くと考えられる。もしかしたら倒産や企業合併が進むかもしれない。コロナ禍が収束した後の大規模小売店舗のあり方は大きく変わらざるを得ないと思う。

イケアの店舗が少し変容した形、店舗の7-8割を倉庫に改装し残りをショールームにした形に変化するかもしれない。
注文はショールームの中からスマホで行い受け渡し口で製品を受け取るスタイルを取ればディスプレイや清掃などの店舗運営に関わるコストを圧縮しかつ人件費も圧縮できるので小売店としてかなり効率的にできるのではないだろうか。

併せてネット販売のための倉庫と店舗販売の在庫を集約できれば尚効率的になると思う。
アフターコロナの世界では大音量でBGMを流して客寄せをし、密集した店内で物を選ばせる売り方は淘汰されるかもしれない。

都心のオフィス賃貸

コロナ禍で多くの労働者がリモートワークに移行した結果、オフィスに定時に労働者を集めて膝を突き合わせてデスクワークを行う…という旧体制的な労働をしなくとも業務が回ることに私を含め多くの人が気づいた。
アフターコロナの世界では都心に大きなオフィスを構えることは大きなコストと捉えられ、オフィス賃貸は厳しい時代になるかもしれないが、リモートワーク用の小規模オフィスの需要が増える可能性もある。もしかしたら駅前の雑居ビルを改装してリモートワーク用のオフィススペースにしたり、コロナ禍で影響を被った漫画喫茶が業態を変更してリモートオフィス用の個室貸し業務を行うかもしれない。

労働市場

人事採用にも変化が訪れるかもしれない。
前述の通り旧体制的なオフィス労働を行わなくても業務が回ることを私たちは経験してしまったことから、今までのように定時に会社に出社する生活、満員電車の苦痛に耐え忍ぶオプション付きの労働環境は選択肢から除外されると思う。
アフターコロナの世界では、旧態然とした社風の会社は新卒社員・転職組のいずれからも相手をされなくなるかもしれない。

産業構造

飲食業やサービス業の担い手が極端に減少し、これらの業態の品質水準が劇的に低下すると考えられる。これは東京オリンピックを足がかりに日本の産業をインバウンド産業へ転換させようとした日本政府の思惑に思いきり冷や水を浴びせかける形となった。
飲食業やサービス業は人々を幸福にするために無くてはならない業種である一方で、労働者が搾取されてきた業態でもあり災禍によって真っ先に苦境に立たされることが明確になったことから、アフターコロナの世界では品質の良い小規模なレストランや居酒屋と極端に劣悪な水準の飲食店、サービス業へ二極化するのではないかと考えている。

学生の志望する就職先に目を向けると公務員志望はさらに大きくなるかもしれない。

しかしながら、コロナ禍を通して日本の行政システムが極端に旧時代的であることが明らかになった今、今後イノベーションを起こす意識のない人間が公務員としてぶら下がり続けたとしたら、日本の行政システムは自身を変革する力を持たないのでガラパゴス化が加速するかもしれない。

住宅市場

都心のマンション価格はコロナ禍以前の段階で一般的な収入の国民が買えない価格まで高騰していた。ただでさえ高騰した住宅価格に消費増税が追い打ちとなり、都心に住宅を購入しようと考えた場合かなりの無理な住宅ローンを組むか不便を受け入れるかの二択を迫られていた。

アフターコロナの世界では都心のオフィスへの通勤を迫られる職種は敬遠されると同時に、都心に住むメリットも薄れるのではないだろうか。併せて東京近郊の環境の良い住宅の取引が急増するかもしれない。

もしかしたら僻地に住む人が増える可能性もある。可能性はかなり低いがポツンと一軒家が高視聴率を叩き出していることもあり、あながち可能性のない未来とも言えない。

興行関連

いわゆるドーム会場を使った商業音楽のイベントは当面開催できないか規模が縮小されると思うが、商業主義的ではない音楽の興行は自粛ムードさえ解消されれば再開されるのではないだろうか。アーティストはどうにか生き延びることができると思うが、土地建物を所有しているライブハウスや人員を抱えているプロモーターなんかはコスト垂れ流しになるので業態の転換が起きてしまうかもしれない。

もっともあり得そうで一番厄介な結末

それはある程度収束したところで甚大な被害を放置したまま元どおりの社会・生活に戻ってしまうことだと考えている。

喉元過ぎればなんとやらで、実はこのシナリオが実現する可能性が一番濃厚なのではないだろうか。現代社会が抱えている問題だとか、人権を軽視した働き方を改善する絶好の機会を全てなかったことにしてグローバル資本主義と日本式ガラパゴス会社エコシステムが再加速することになったら…。おそらく現代社会が抱えている社会問題や労働問題を解決する次のチャンスはもう無いのではないかと思う。

コロナ騒ぎを通じて働き方が変わればいいと切に願っている

私の家は代々商売をやっていたので、両親や祖父母はもちろん近所のおじさんやおばさん、家業のお客さんから近所の幼馴染や野良犬野良猫に至るまで四六時中誰かが側にいる中で育った。窓を開けた軽トラックの助手席に揺られて配達の手伝いに行ったり、店にかかってくる電話番をしながら過ごしていた頃を今でも時折思い出す。

高々数十年前の話ではあるが、当時は今よりもだいぶ大らかな時代だったので、勝手口は開けっ放しだったし軽トラックの荷台に寝転んでいたりしても何ら問題ではなかった。

縁側で寝転んでいると店の方からは常にお客さんの話し声が聞こえ、陽が傾く頃にはNHKラジオから大相撲中継が流れそれが次第にプロ野球中継になった頃、夕飯の香りで一日が終わりに近づいていることに気づくのである。

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LEITZ M6/Elmarit-M 90mm F2.8/Ilford Hp5 Plus

時計の針を数十年すっ飛ばしたいま、私は育った環境とは全く異なる日々を過ごしている。満員電車に身体を埋め一日の多くの時間を通勤に費やす「勤め人」という一番なりたくなかった身分に身をやつしているのである。

奴隷運搬列車に押し込まれ監獄のような仕事場に搬送され、作り笑いを顔に貼り付けた人々と心にもない言葉のキャッチボールを繰り返す無味乾燥な日々。そんな無価値な日々がコロナウィルスの騒ぎのおかげで(一時的とはいえ)終わりを告げたことにとても感謝している。

不謹慎と怒られるかもしれないが、多くの人々が「そもそも会社に行く必要はあったのだろうか?、そもそも自分の仕事のやり方は価値を持っているだろうか?」と労働に疑問を呈し始めたように感じるし、私はこのコロナ禍が日本社会を変える一助になれば良いと本気で考えている。

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LEITZ M6/Elmarit-M 90mm F2.8/Fuji ACROS

朝ゆっくり起床して一杯のコーヒーを飲んだ後散歩に出る。陽が傾いたら仕事の手を止めて優しい音楽に耳を傾ける。そんな暮らしがいい。

仕事に引っ掻き回される人生は一旦やめにして家族や動物と多くの時間を共有する生活に切り替えるのはどうだろうか。コロナ騒ぎをきっかけに日本社会の仕組みや価値観が変わっていって欲しいと切に願っている。

社会が変われば無理して高い家賃を払って苦しい思いをして首都圏に住まなくても暮らしていけるかもしれないし、大切な人達と限りある時間をきちんと共有できるかもしれないし。

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LEICA M6/Summicron-M 50mm F2/Fuji ACROS

 

この記事の中で使ったフィルム&機材

ILFORD HP5+

このフィルムは旧型乳剤なので超微粒子とまではいかないけれど、古典的なモノクロフィルムらしいクラシックなざらつきある仕上がり。おなじ旧型乳剤のKodak Tri-Xに比べて価格が控えめなので日常使いのフィルムとして良いかと思う。

Fuji ACROS II

残念ながら廃盤となっなACROSの後継フィルム。驚くようなシャープネスは先代譲りだが、コントラストは先代より強くよりモダンな印象。イギリス製なのでもしかしたらILFORDへ製造を委託しているのかもしれない。

 

LEICA Summicron-M 50mm F2

1979年発売のSummicronから基本設計からほぼ変わっていない現行品。発売当時の凄まじい解像度は40年以上経過した現代においても第一線。いろんな50mmを取っ替え引っ替えしても結局これに帰ってきてしまうので、実は最初にこれを買っておくのが正解だったりするかもしれない。

 

LEITZ Elmarit-M 90mm F2.8

1959年発売なのでオールド感は否めない。開放で撮ると非常にソフトでふんわりとしたオールドらしいレンズ。絞っていくとしっかりとした絵を作るがモダンなレンズとは一線を画した春先のふわっとした空気感を演出してくれる。旧型乳剤のフィルムと組み合わせると本当にオールド写真になってしまうのでACROSのようなモダンなフィルムかデジタルライカと組み合わせるといいかもしれない。

ライツ黄金時代の製造なので造りは素晴らしく手が込んでおり、品の良い写りの良さと相まって手放せない一本。90mmという画角が悪いのかあまり人気がなく、中古市場の価格もお安め。

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