analogue life

シンプルな暮らしとフィルム写真のこと

喪失のスケジュール

突然降りかかったアクシデントにより「すわ一大事!」になる状態を世間的には人生のピンチと呼ぶと思うんだけど、最近の自分はじわじわと真綿で首を締められるように苦境に陥っていて、自分ではどうすることもできない蟻地獄に落ち込んでいる。

突然職を失った訳でも身内を亡くしたわけでも自分の余命宣告されたわけでもないので自分でも何だか大袈裟な書きっぷりだと思うけど、先日可愛がっていた猫の余命を聞いてしまったところから日常の景色が変わってしまった。

喪失の予定を与えられると、私たちは喪失イベントをかき集めて予定表を作ってしまうのかもしれない。

いずれ衰えていくであろう自分の身体のことやいずれ自立していく子供のこと、いつか固まってしまうであろうソファでスヤスヤ寝ている猫の寝顔、私たちの財産をむしり取るハゲタカ国家のこと、変わってしまうこの国や社会のこと。様々な形の「喪失」が頭の中をぐるぐると周り、強烈な焦燥感と無力感に取り憑かれてしまっている。

身体は大丈夫だし変わらずニコニコ過ごしているのに気持ちが崖っぷち。

2時間サスペンスのラストシーンで船越英一郎に相対している気分だ。サスペンスの船越英一郎は物語の主役でいわば正義に与する登場人物だが、今自分が相対している相手は形のないこの世界の澱みの集合体のようなものだ。

ハリウッドの映画のピンチは大体15分程度で終わるけど、僕のピンチはそれに比べて超絶長いものになるかもしれない。

 

今週のお題「人生最大のピンチ」