analogue life

シンプルな暮らしとフィルム写真のこと

なんでもないある夏の日の写真

幾つ歳をとってもこの季節は苦手だ。

寝苦しい暑さの中で扇風機が部屋の空気を細切れにする音を聞きながらウトウトと眠りに落ちたかと思えば、窓から差し込む日差しが強引に眠りから引き戻す。「美しい日本の夏」なんて言う人が数年前にいたけど最近あまりこのフレーズを聞かなくった気がするので、あの頃「美しい国日本」とか言ってた人々は暑さで頭がおかしくなってしまったのだろう。気の毒だ。

 

そんなあるどうしようもなく気だるい週末の朝、睡眠不足により疲労が溜まる一方の頭をゆすり眠い目を擦りながらカメラにフィルムを装填した。うっすら残る前日のアルコールに溶けた記憶と夜の熱気が醸成した二日酔いの頭と手でフィルムを探す。

 

ここ最近はずっとEastman Kodak Double-Xばかりだったので、気分を変えるためにもずっと使っていなかったフィルムを棚から取り出しカメラに装填した。期限もまだ先だし大丈夫だろう。暑苦しい夏の雰囲気にぴったりのフィルムだ。

 

重複と失敗を除いた27枚で綴る2023年夏のあまりにも暑かった一日の記録。

朝起きてから宵の口まで。子供を起こして洗濯して、海辺を歩いて盆踊りを眺めながらまた酒を飲み始めるまで。ぜひどんなフィルムを使ったのか想像しながら眺めてみてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回Eastman Kodak Double-Xに代えて装填したのはFomapan100。

普通に撮ってSPUR Silversaltで現像したのだが現像液が優秀なためかFomapanらしい荒々しさがなりを潜めている。代わりに美しいグレートーンが顔を覗かせていると思うのだがどうだろう?

このフィルムには写真の楽しさが詰まっていると思う。写真とはディテールを虫眼鏡で見ることではなくて、光の形を捕まえることなのだ。