analogue life

シンプルな暮らしとフィルム写真のこと

伝えたいこと、伝えること。

写真を撮る私は留守にしています。御用の方はメッセージを便箋にしたためてポートラ1本を添えて私の郵便受けに入れておいてください。気分が晴れたら写真を撮りに出かけます。

六本木の裏路地で少し早い昼を食べながらブログを書くこと、書いた文章を世に放つことについて考えていた。

文章を書くということは誰かに何かを伝えるためだし、文章は受け取った誰かにとって価値のあるものでなければならない。

世界は決して自分とおなじ理屈で動いてるわけでもないし似た価値観で覆われているわけじゃないのだから、正しさを押し付けてもいけないし価値観を振りまいてもいけない。

問題提起を目的とした表現だってあるけれど、四六時中誰も彼もが主張していたら世界は一向に平和にならないのだから、それが文章であれ写真であれ、絵画であれ音楽であれ受け取る側を不快にさせてはならないのだ。

そんなことを考えていたら、注文していたハンバーグ定食がそっとテーブルの上に置かれた。サラダとナポリタン、ハンバーグとソースが一皿の上にぎゅうぎゅうに詰め込まれ、これでもかと主張している。

ハンバーグの端を箸で割りソースを絡めてご飯と一緒に口に放り込むと、肉の旨みとソースの香りが奔放に鼻腔を駆け巡る。

しあわせだ。

六本木のはずれにあるくたびれたレストラン、決してモダンではない昭和の洋食ランチだ。

寡黙に料理を作るおじさんとマダムからはお客を喜ばせよう、お腹いっぱいにして帰そうという意図がひしひしと伝わってくる。

文章でも写真でも「伝えること」の根幹の一つは限られた時間を割いてくれる人に何かの価値を提供することだし、受け手に何かハッピーを与えることだ。

そのためには文字数は多い必要なんてないし、周りくどい説明を屁理屈でラップする必要もない。1000文字程度と決めて簡潔に美しく書けばいい。言ってはみたけど中々難しいな。

満腹の眠気で薄れいく意識の中でそんなことを考えていた。

今日はもう店じまいにしたいな。