こんなに苦労させられたカメラは初めてかもしれない。
使いこなせずに手放す人がいるとは聞いていたけど、2ロールほど使ってみてその気持ちがよく解った。
ファインダーを覗くと絶望的に広いし、水準器では水平が出ている筈なのにファインダーの像と水準器の傾きが合わないし、近距離の目測は異常にシビアだしそもそも距離がフィート表示だし。
ある意味では人の資質を試すカメラだと思う。
写真の上手い下手ではなく、写真に対して時間を割いて真摯に写真に向き合うことができる人かどうかを試す機材。
別の角度から捉えれば、ねちっこく向き合いさえすればこれほど面白い機材も中々ない。
使い始めて一ヶ月。ようやくこのカメラに慣れてきた。
Hasselblad SWC/Biogon 38mm F4.5/ACROS II
方々で言われている通りで描写は素晴らしいの一言。
隅々まできっちり解像し歪みもないので、恐ろしい程に水平垂直がびっちり出る。
上の写真は真ん中の信号機で垂直を出したが、左右の木や通行人も全く歪まない。
SWCの場合はカメラを買ったというよりレンズを買ったという感じがしっくりくる。
まさにBiogonというレンズのために製作されたカメラ。
Hasselblad SWC/Biogon 38mm F4.5/Ilford Delta100
当たり前だけど、薄暮のような薄暗いところで使うとなるとピント面がとても浅くなる。
超広角レンズを使うときは二歩でも三歩でも被写体に寄らないと途端に写真が退屈になるし、ストリートスナップを撮る場合はピント合わせしてる時間がないので可能な限り絞って使う事が前提になりそうだし、ISO400のフィルムが常用になりそう。
ピントを6ft〜50ftに合わせてストリートスナップをするのも面白い。ブルース・ギルデンのような迷惑極まりない使い方もできるかもしれない。
Hasselblad SWC/Biogon 38mm F4.5/Kodak Tmax400
慣れてくると水準器ではなくファインダーの中できっちり水平垂直が取れるようになる。
目玉を回して周辺を気にすると水平垂直がわからなくなるが、ファインダー中心に十字があると想像して垂直を決定すると労せず決まるので、むしろ水準器が物事をややこしくしてるのかもしれない。
もしSWCを探している方がいたら、付属品がちゃんと付いていることは確認した方が良い。
ファインダーだとかフードのような付属品は単体で出てこない事が多く、いざ探すとなると本当に頭が痛い。
特にファインダーは酷くて、見つかったとしても平気で5,6万するし純正フードに至ってはそもそも見つからない。
私の場合、どうしてもフードが見つからなかったので、Camera&Watch Barオカダヤさん企画のレンズフードをFlashback Cameraさんで購入した。
少々値は張るし図体も大きいフードだけど、その性能はばっちりな上にSWCの異形さに磨きがかかるのが素晴らしい。
正面から見るとすごいでしょ?
SWCというニッチな個体のためにフードを企画してくれたオカダヤさんに感謝である。
参考記事