analogue life

フィルムが捉える世界は美しかった

中判フィルム写真の心地よさ

中判フィルムカメラが自分のメインになってしばらく経つけれど、気がついたら35mm判フィルムカメラをめっきり使わなくなってしまったのであります。35mm判の縦横比がどうにも収まりが悪いような感覚から始まった中判スクエアフォーマット偏愛の内訳を少しまとめてみようと思う。

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Hasselblad 500 C/M/Planar CF 80mm/Kodak Tmax 400

偏愛理由01: 一コマに収められる情報量の多さ

フォーマットが大きければ当然情報量も大きい。現像して紙に焼くにしてもフィルムをスキャンするにしてもその情報量の多さに圧倒される。

もちろんスキャンした画像を等倍で見ると35mm判と中判は同じ解像感なのだが、プリントしたときの濃密さではもう圧倒的に中判に軍配が上がる。

フォーマットの大きさに加えて、中判用に設計されたレンズは素晴らしいものばかり。

下の写真はRolleicord IVで撮ったものだけど、傘立てのディテールまでビシッと写っていて見返すたびにこのシュナイダー製のXenar 75mmは凄いレンズだなぁと思う。このレンズの解像感はLeica Summicron 50mmに迫るものがあるかもしれない。

もしいま手元に自由に使えるお金があったらXenotarが付いたRolleiflexを買って比較してみたい。

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Rolleicord IV/Xenar 75mm/Kodak Tmax400

 

一方こちらはHasselblad 500C/MとPlanar CF 80mm。

テナークレーンの脇についている階段までビシッと解像しているのには驚いたが、Xenarと比べると若干ソフトな印象がある。NDフィルターが手元になかったので絞りすぎ感は否めないけどそれでも十分過ぎる解像感がある。

この二本を比べる限りシャープさならXenar 75mm、ふわっとした空気感ならPlanar CF80mmだと思う。

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Hasselblad 500CM/Planar CF 80mm/Kodak Tmax400

偏愛理由02: 少ないコマ数

120フィルムをスクエアフォーマットで使うとフィルム1本で12枚しか撮れない。

同銘柄の120フィルムと135フィルムの価格は大体同じくらいなので(2020年2月現在)撮影コストは約3倍となる。

とは言え私のように1シーン1,2カットで撮り歩くスタイルだと36枚撮のフィルムだと撮り終わるのに随分な日数を要するので、12枚しか撮れないというのは実に切りがいいと感じているのである。撮影時の熱量を保ったまま現像に向き合える丁度いい分量。

「あれ?このフィルムの中って何があったっけ…」となってしまうと現像もいい加減、出てくる結果もいい加減になってしまう。この少ないコマ数はデジタルに慣れた世代に取ってもメリットかもしれないと考えている訳です。ちゃちゃっと撮り終わって現像できるもんね。

N0082020

Rolleicord IV/Xenar 75mm/Kodak Portra400 

勿論中判フィルムに手を出したところで年収が突然3倍になるわけではないので、B&Hでのまとめ買いを必須とした上で常に「この写真は撮る価値があるか?」ということを自問自答するようになる。

私の写真そのものが成長しているかはさておき、この撮る前に考えるプロセスが写真との向き合い方を成長させている気がしてならない。

ゴミのようなメモ写真はスマホに任せておけばいいのだ。

 

偏愛理由03: スクエアフォーマットの安定感

これはRolleicord(Rolleiflex)やHasselbladの6X6フォーマットにのみ当てはまる話だけど、縦も横もないこのフォーマットの安定感たるや抜群のものがある。

35mm判から移行した当初こそ狭い横幅に窮屈さを感じたものの、スクエアフォーマットに慣れてしまうと35mm判のフレーミングが急に難しく感じるのであります。

よくよく考えれば、写真なんて世の中を四角く切り取る(あるいは四角に押し込む)作業なのであって、四角の中で世界が決まっていればそれでいいのである。

本来縦だの横だのの軸線(関係性)は被写体の中に存在するのであって、枠を縦に横にと動かして軸線を作るのはナンセンスなのではないかと思うようになったのであります。

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Hasselblad 500CM/Planar CF 80mm/Kodak Tmax400

スクエアフォーマットだと必然的に日の丸構図が多くなるんだけど、私は日の丸構図を悪いなんて微塵も思っていないし何なら日の丸構図しか撮ってない。

三分割だの二分割だのゴチャゴチャ言う奴はどの時代、どこの国にもいるようだけど結果が伴わない理屈をこねる連中は無視しておけばいいのである。 

私は正方形が好きなんだ。

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Rolleicord IV/Xenar 75mm/Fuji ACROS II

偏愛理由04: レイアウトがとてつもなく楽

これも6X6フォーマットのみに当てはまる話だが、写真集だとかZINEを作るときのレイアウトがむちゃくちゃ楽なのである。

縦横比があるフォーマットだと横構図と縦構図が混ざることになるけど、6X6フォーマットだと写真を並べるだけなのでレイアウト作業自体も楽だし、一冊を通して安定感のある端正なレイアウトができるが素晴らしい。

ヴィヴィアン・マイヤーの写真集なんて1ページ1カットだし。

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Hasselblad 500CM/Planar CF 80mm/Kodak Tmax400

私は個人的に年一冊写真集を作っているけど、InDesignとレイアウトで睨めっこするという不毛な時間がなくなるのは嬉しい。

限りある人生は撮影と現像に費やすべきなのだ。

偏愛理由05: お財布にやさしい

120フィルムが高いと書いた後に財布に優しいと書くと矛盾に聞こえるが、ここで言う優しさは中判フィルムカメラの導入コストの話。

昨今の中古ライカの値上がりを見ていると半年〜1年程度でびっくりする程値があがってしまった感がある。

もちろん中古カメラの相場が価格コムに載ることはないのであくまで個人的な肌感覚だけど、例えばLeica M6だとここ一年で並品の相場が15〜16万円から23〜24万円程度まで来ているし、私の大好きなSummaron 35mm F2.8も10万円程度だったものが20万円を超えることも珍しくなくなった。

原因は至ってシンプルで、豊かになったアジアに向けて中古品が旅立っているからだそうだ。

これはGoogle TrendでLeicaだとかSummicronというワードを入力してみれば、その結果が状況を裏付けてくれる。香港やシンガポール、タイなどの人々がとても熱心にLeica製品を求めている。私自身シンガポールで中古カメラ屋の詰まった雑居ビルを訪れて、この傾向を目の当たりにしている。

かの地ではフィルム写真がメジャーな趣味として定着しているのである。

filmmer.hatenablog.com

かの地では熱心にLeicaが買い求められる一方で、中判フィルムカメラはそこまで熱心に取り扱われていないというのが私の印象だった。

Hasselblad初め中判フィルムカメラもあるにはあるのだが圧倒的に35mmの数が多い。店の脇でちょこっと鎮座している程度なのでまだ彼らの興味の対象では無いのかもしれない。

前置きが長くなったが、個人的に中判フィルムカメラはまだ爆発的な価格高騰を起こすまで時間があると考えている。マミヤ7とかプラウベルマキナは既に手が出ない価格帯だけど、HasselbladとRolleicord、Rolleiflexはまだまだ手が届く範囲じゃないだろうか。

HasselbladのレンズなんてLeicaに比べたら全然安く調達できるよね。CFレンズまでなら10万円あればコンディションの良いレンズが選び放題である。中判フィルムカメラを始めない理由なんてどこにもない。

まとめ

35mmフィルムカメラは細々とではあるがLeicaLOMOが新造品を市場に供給している一方で中判フィルムカメラとなると私の知る限り新造品はない。良質なHasselbladやRolleiが市場にあるうちに、Leicaのような価格帯になる前に中古品を確保しておくのが吉だと思う。

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Fuji Xpro1/XF 35mm F1.4

この記事を読んで中判フィルムカメラに興味が出た方がいたら、是非2月16日から銀座松屋で開催されるカメラ市に足を運んでみてください。私も会場をぶらぶらしているかショーケースの中身と残高のにらめっこをしています。

ics1972.jp

それでは良き中判フィルムカメラライフを!