analogue life

シンプルな暮らしとフィルム写真のこと

きちんと作られたPlanar CF80mmは素晴らしいレンズ

有機野菜を用いた料理の話のようなタイトルだけど、去年の秋に買ったRolleicord IVに引き続き先日のHasselbladもハズレを摑まされていたという話。

今まで写真機材でハズレを引いたことがなかったので、中判フィルムカメラと私の相性が悪いのか、私が買い物に行く中古屋が悪いのかほんのちょっと悩んだ。

どちらかといえば後者に原因があると思うが、恨みつらみを並べ立てても仕方がないのでこのハズレPlanarについて書き残しておく。

Planarって評判倒れレンズじゃない?

最初の1ロールを現像した後の感想がこれ。

試写した日は雨だったしPlanar CF80mmは開放付近がポヤポヤだと聞いていたので、F4以下はこんなもんかと思っていた。

このレンズは実は柔らかい描写なんだな、と。だから世間はRolleiflexのPlanarを最高のPlanarと絶賛するのかと思っていた。

解像感はScheneiderのXenar 75mmの方が圧倒的だしボケも綺麗だし、一方のPlanarは解像感ゆるいし前ボケは汚いし全くの評判倒れ…と考えていた。雰囲気はある…ように思うけど釈然としない写り。

N0052020

Hasselblad 500CM/Planar CF 80mm/Kodak Tmax400 

やっぱり何かおかしい。

その後2,3ロールと使ううちに何だか怪しいぞ…とうすうす気づき始め、これはハズレを摑まされたと確信したのが次の二枚。  浴室に吊るされたネガを眺めながら、ふと嫌な予感が胸をよぎったのだけどその予感は現実だった。

f:id:filmmer:20200405095520j:plain

Hasselblad 500CM/Planar CF 80mm

前ボケが汚いとかの話以前に、カツカレーと同一平面にある大盛りカレーがファンタジー。いやはやこれは立派な片ボケ。当選でございます。お疲れ様でした。解散。

 

f:id:filmmer:20200405102154j:plain

Hasselblad 500CM/Planar CF 80mm

片ボケの検証のために撮ってみたのがこれ。下半分が怪しいと思っていたけど、右も左も点光源が流れちゃっているので写真として破綻しちゃってる。こりゃもうダメだ。前の持ち主をぶっ飛ばしてやりたい。

Hasselblad Planar 80mmの描写をネットで探していたら、Photo Yodobashiさんの記事にたどり着いたけど、「どうだ!」と言わんばかりのビシッと四隅まで決まる描写。自分の写真と見比べると涙でネガが見えない。

photo.yodobashi.com

 

修理するか悩んだ挙句新調した

ぼんやりしていても何も変わらないので行動を起こさなければならない。

中古市場に出ているHasselbladのPlanarの玉数が少ない上に価格もそこそこするので、まずは修理人の方にレンズをばらして見て頂いたところ簡単に解決できる問題ではなさそうだった。

Hasselbladの修理はとかく金がかかると聞いて途方に暮れていたら、(運良くと言っていいのかわからないけど)保証付の美品が出てきたので新調することにした。同じレンズが2本も手元にあるなんて自分の人生の中で初めての経験。ハロー新米。

 

f:id:filmmer:20200405165244j:plain

Hasselblad Planar CF 80mmは十数年製造が続いたモデルなので、新旧の2本を並べてみるとところどころに意匠の変更があっておもしろい。

前期モデルは"Made in West Germany"であるのに対し後期は"Made in Germany"に変更されている。このモデルの製造中にドイツは東西統一されたことを思うと感慨深い。

ベルリンの壁が壊された当時、クソガキだった私と私の幼馴染は教室の本を並べて「ベルリンの壁」を作ってはドミノ倒しにして猿のようにキャッキャと喜んでいたことを思い出す。

 

早速比較する

マガジンにFomapan 400を詰め、三脚とPlanar CF80mmを2本持って近所を散歩しながら検証用の写真を6カットずつ撮ってきた。

下の石垣の写真が一番わかりやすいのだが、下半分の片ボケかと思っていたら全体的にボケてるわ周辺は盛大に流れているわで本当にどうしようもないダメ玉を摑まされたことがわかる。手ブレ写真なんじゃないかと思われるほど酷いが、三脚にガッチリ固定しているので手ブレでは断じてない。

f:id:filmmer:20200405162854j:plain

最初に買ったダメPlanarは、下半分に前景がある構図だと前ボケのように見えるけど平面を撮るとまるでダメ。残り5カットも似たり寄ったりの結果で中心から離れるほどに解像しなくなり四隅は流れまくる。

前述の修理人の方曰く「開けられた形成はあまり感じられない」とのことだったので、もしかしたら出荷時からこの状態だったのかもしれない。すごい話だけど。

このダメPlanarは外装が綺麗なのでどこかに売り飛ばすこともできるけど、そんな無責任なことは絶対にしてはならないと思うので、将来の部品取り用に手元に残すこととする。

新たに買い足したPlanarは気持ちよく解像する。

新しいPlanar CF80mmは、以前買ったPlanarと同じレンズなのかと思う程素晴らしい。下の写真はフジACROS IIを最近発売されたばかりのSPUR Silversalt現像液で仕上げたものだが、本当に気持ち良い写りをする。ACROS IIもSilversalt現像液も素晴らしい仕事をしてくれる。

N0202020

Hasselblad 500CM/Plana CF80mm/Fuji ACROS II/SPUR Silversalt dev. 

f:id:filmmer:20200405172909j:plain

Hasselblad 500CM/Plana CF80mm/Fuji ACROS II/SPUR Silversalt dev. 

 

Planar新調を通して気になってきた現行品

Mマウントは現行品のSummicron-M 50mmがあるので、同じ50mmF2をもう一本買ったところで意味がないのは重々承知しているのだけど、ちゃんとしたPlanarに感銘を受けてしまったのか変に感化されたらしく、ここ数日ずっとPlanar 2/50 ZMのことを調べていたりする。

www.cosina.co.jp

rangefinder.yodobashi.com