最近HASSELBLAD 500C/MかRolleicord IVばかり使っている。
ふと気がついたら新造品のカメラやレンズを全く使わなくなっていることに気がついたのだけど、自分の場合は懐古趣味で古い機材ばかり使っている訳ではなく、新しい製品に魅力を感じなくなってしまったんだと思う。言うなれば新造品不感症。みんなと同じもの使っても面白くないじゃんねぇ。
古い機材ばかり使ってみて感じたんだけど、機材の新旧って写真の本質にはあんまり影響ないんだよね。古くても設計思想がしっかりしているレンズは十分現代でも通用するし、逆に今作られている新製品でも思想やコンセプトが曖昧でスペック表に頼って売っているものは早々に陳腐化すると思う。
思い当たる節、あるでしょ。
海辺にて
ネビル・シュートの小説「渚にて」は、核戦争で壊滅した北半球と放射能汚染に怯える南半球が舞台になっていた。今回のコロナ騒動を大きな脅威と考えていないけれど、人影がまばらな海辺に佇んでいるとふとこの小説のことを考えてしまう。
災害を織り込んで設計されていない私たちの社会は極度に脆弱で、簡単にメディアに扇動される私たちはあらゆる意味で愚かな存在なのだ。
さらに愚かなことに、このコロナ禍が過ぎ去ろうとしている今、行政や企業は何一つ反省せずに前時代的かつ非効率な社会に舞い戻ろうとしている。
とはいえ私一人が声を上げたところで何が変わるわけでもないので、一人カメラを持ってぶらぶらと歩き夜になったら酩酊しながら現像を繰り返すのである。
HASSELBLAD 500CM/Planar CF 80mm/Kodak Ektar
HASSELBLAD 500CM/Planar CF 80mm/Kodak Tmax 400 developed with Adonal
HASSELBLAD 500CM/Planar CF 80mm/Kodak Ektar
HASSELBLAD 500CM/Planar CF 80mm/Kodak Tmax 400 developed with SPUR Silversalt
HASSELBLAD 500CM/Planar CF 80mm/Kodak Ektar
Kodak Ektarを見直した
ところで、今回久しぶりにカラーネガを使ってみたらとても良かった。
たぶん私の人生で2ロール目のEktarになると思うんだけど、このフィルムを初めて買った当時は懐古的でフィルムっぽい写真が欲しい時期だったので、あまりの値段の高さとキャラクターのなさにげんなりしてさっさとPortraに戻してしまった記憶がある。
今回改めて中判カメラにEktarを詰めて海辺の写真を撮ってみて思ったのは、自然光の豊かな場所でこのフィルムを使うとポジフィルムとネガフィルムの中間のような発色をするなぁということ。
冗談みたいな日本の価格と違いB&Hで買えば35mmに比べて120は割とお手頃価格で調達できるので、今年の夏はもうちょっとEktar使ってみようと思う。
この記事の中で使ったフィルム&機材
HASSELBLAD 500C/M
A12マガジンとボディのセットだと2020年5月末時点での相場は7-10万円くらい。
この記事を書いている時点で3つほど中古の個体を見つけたので興味のある方は確認してみてくださいね。ひと昔に比べてハッセルの個体は値崩れしている感があるけど、製造された時代も時代なので納得できる個体を見つけたら買っておいて損はないと思います(個体1、個体2、個体3)。
HASSELBLAD CF Planar 80mm
C Planarの後継となるモデルなのでHASSELBLAD 500シリーズ用として2世代目となるレンズ。
シャッターユニットがコンパー製からプロンター製に代わり耐久性が大変よろしくなった反面、質感はプラスチック部品の多用により落ちたかなぁと思う。
肝心の写りは…CFのほうがコントラストと色乗りが良いと言われているけど個人的には使い手側の自己満の範疇かなと思うし、Photo Yodobashiさんの比較ではあまり変わりがないっぽい。製造から半世紀以上経った製品のレビューを行うヨドバシさんとマップさんの熱意には脱帽。
ハッセルプラナーはボディと一緒に売っているパターンが多く、なぜか単体売りが少ないので良個体と出会ったら早めに買ったほうがいいんじゃないかな。私場合はセットで買った時のプラナーがダメ個体だったので苦労しました。
Kodak Ektar100
Portraの影に隠れてどうにも影が薄い印象があるけどEktar100はとてもいいフィルムだと思う。シアンに寄ったようなフィルムっぽいファジーな写りを求める場合はPortraかフジのPRO400のほうがいいけど、Ektarの彩度豊かで粒状性の良い写りは素晴らしい。
Portraに比べて影が薄くもしかしたらディスコン…になってしまいそうな気配もあるので、もっとみんな使ってください!
Kodak Tmax400
中判フィルムでISO400のフィルムというと、このフィルムを除けばTriXかイルフォードのデルタ400かHP5+かフォマパンくらいなので選択肢は5択。中でもTmax400は最近買ったSilversalt現像液との組み合わせが素晴らしく、価格が高いのなんのとブツブツ文句を言いながらもついつい買い足してしまうフィルム。SPURから最近発売された新しいTmax専用現像液との組み合わせも気になるところ。
ADOX Adonal(Rodinal)
世界最古にして現役の現像液。
設計が古いイコール古典的な仕上がりと思いきや全く古臭さはなく、強烈なシャープネスはある意味モダンでとても良い。
その上ものすごい高希釈で現像するのでコストも低く抑えられ、しかも膨大なデータがあるのでロジナールさえあれば大概のモノクロフィルムはどうにかなる。