12月も半ばを過ぎると次第に時間の流れが遅くなっていく。
見切り発車ならぬなんちゃってゴールと言うか、もうこれで終わったことにしない?年末だからいいよね?ね?みたいな感があちらこちらにあって、急に優しい社会がこの世界に実現したのではないかと思う。
今年も仕事と家庭で心がクタクタだけど、時間の流れが少し遅くなるこの季節になると長い長い一年のゴールに向かって最終コーナーを回ったような気持ちになれるのがいい。
もう働きたくなんてない。
もうすぐ世間はクリスマス。
東京の豪華なマンションとかオフィスビルには大きなツリーが飾られるけど、僕はこれくらい小さな置物で十分だと思う。拾ってきた松ぼっくりを塗ってテーブルの上に転がしたらひとつの小さな世界が出来上がった。
ぽっかり空いた時間を埋めるようにカメラをぶら下げて海辺をぶらぶらする。
最近ずっとカラーネガフィルムばかり使っていたのでモノクロフィルムはなんかホッとする。カラーネガでもモノクロフィルムでも撮ってるものは一緒なんだけど。
数ヶ月前に「静かな写真を撮られる方ですね」と言われたことを思い出した。
静かな写真を撮ろうなんて今まで考えたこともなかったから、想定外のコメントを頂いてちょっと動揺した。
感想に困った挙句にどうにか絞り出した一言だったのではないかと訝しく思ったけど、改めて自分の写真を眺め直すと喧しいはずの荒れた海でも静かな印象の写真なのだ。
今年の冬は暖かい日が多い。
吹きつける潮風と乾燥した空気、暖かな陽射しの組み合わせは不思議な組み合わせだけど心地よい。この気温と湿気のまま夏になってくれたらいいんだけど。
写真はすべてVoiktlander BESSA R3A, Summicron-M 50mm F2, Eastman Kodak Double-X