analogue life

シンプルな暮らしとフィルム写真のこと

大きな子供のように生きている

明日でまた歳をひとつ重なることになるのだけど、今までの人生を振り返ってみると「ぼんやりしていたら大人になってしまった」ということに尽きる。

今年のこどもの日は小さな子供の手を引いて結婚式に出席していた。周囲にも小さな子供がたくさんいて、あぁ自分もこんな純真無垢な子供だったのだなぁ…とか随分と捻くれた大人になっちゃったなぁ…とか思いながら神社の庭を歩いていた。

N0192023

田舎で生まれて育った僕はのんびり育ってしまったので、夢なんて描いたことがなかったし猛烈な努力なんてしないまま大人になってしまった。それでも子供の頃は多分この辺に着地するであろう「大人像の想定範囲」みたいなものがあったと思う。

あまり覚えていないけど、あの頃僕が思い描いていた未来は小さな田舎で細々と家業の跡を継いで暮らす生き方だったはずだ。

ところがどうしたことか。それっ!と社会に飛び出した後は想定外の乱気流に巻き込まれて東へ西へとぐるぐる回り、何を間違ったか都会のサラリーマンなんてものになってしまった。そんなの嫌だと学生に戻ったりバイト生活をしていたのに、なぜか引きずり戻されてしまった。

満員電車に揺られ七三分けの没個性な鼠色のスーツに身を包んでゴマすりながら、これまた没個性なニュータウンの団地に帰っていくサラリーマン像は子供の頃に一番毛嫌いしていた人種だ。

髪型も服装もある程度自由で、ピコピコハンマーで同僚の頭を叩ける職場だということは救いかもしれないけど自分がやりたかったのは手を使ったものづくりのはずなので、自分の人生は思い通りに行っていないしあまり満足していないけど、生きるためには仕方がない。

なんとなく人生に飽きちゃっていて、仕方がないから写真を撮って暗室でプリントしている。これだって立派なものづくりだ。もちろん写真では生活はできないけど。

N0202023

いまの子供たちが大きくなる頃には、この国から理不尽な仕組みだとかルールがなくなっていたらいいなぁと思う。

経済力に関係なく進学ができて自由に仕事ができて、大資本による搾取がなされないような、どうでもいいバズワードに世間が右往左往しない。そんな世界になったら素敵だなって思う。

写真は全てBESSA R3A/LEICA Summicron-M 50mm F2/Eastman Kodak 5222

今週のお題「おとなになったら」