analogue life

シンプルな暮らしとフィルム写真のこと

コロナ騒ぎを通じて働き方が変わればいいと切に願っている

私の家は代々商売をやっていたので、両親や祖父母はもちろん近所のおじさんやおばさん、家業のお客さんから近所の幼馴染や野良犬野良猫に至るまで四六時中誰かが側にいる中で育った。窓を開けた軽トラックの助手席に揺られて配達の手伝いに行ったり、店にかかってくる電話番をしながら過ごしていた頃を今でも時折思い出す。

高々数十年前の話ではあるが、当時は今よりもだいぶ大らかな時代だったので、勝手口は開けっ放しだったし軽トラックの荷台に寝転んでいたりしても何ら問題ではなかった。

縁側で寝転んでいると店の方からは常にお客さんの話し声が聞こえ、陽が傾く頃にはNHKラジオから大相撲中継が流れそれが次第にプロ野球中継になった頃、夕飯の香りで一日が終わりに近づいていることに気づくのである。

N0182020

LEITZ M6/Elmarit-M 90mm F2.8/Ilford Hp5 Plus

時計の針を数十年すっ飛ばしたいま、私は育った環境とは全く異なる日々を過ごしている。満員電車に身体を埋め一日の多くの時間を通勤に費やす「勤め人」という一番なりたくなかった身分に身をやつしているのである。

奴隷運搬列車に押し込まれ監獄のような仕事場に搬送され、作り笑いを顔に貼り付けた人々と心にもない言葉のキャッチボールを繰り返す無味乾燥な日々。そんな無価値な日々がコロナウィルスの騒ぎのおかげで(一時的とはいえ)終わりを告げたことにとても感謝している。

不謹慎と怒られるかもしれないが、多くの人々が「そもそも会社に行く必要はあったのだろうか?、そもそも自分の仕事のやり方は価値を持っているだろうか?」と労働に疑問を呈し始めたように感じるし、私はこのコロナ禍が日本社会を変える一助になれば良いと本気で考えている。

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LEITZ M6/Elmarit-M 90mm F2.8/Fuji ACROS

朝ゆっくり起床して一杯のコーヒーを飲んだ後散歩に出る。陽が傾いたら仕事の手を止めて優しい音楽に耳を傾ける。そんな暮らしがいい。

仕事に引っ掻き回される人生は一旦やめにして家族や動物と多くの時間を共有する生活に切り替えるのはどうだろうか。コロナ騒ぎをきっかけに日本社会の仕組みや価値観が変わっていって欲しいと切に願っている。

社会が変われば無理して高い家賃を払って苦しい思いをして首都圏に住まなくても暮らしていけるかもしれないし、大切な人達と限りある時間をきちんと共有できるかもしれないし。

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LEICA M6/Summicron-M 50mm F2/Fuji ACROS

 

この記事の中で使ったフィルム&機材

ILFORD HP5+

このフィルムは旧型乳剤なので超微粒子とまではいかないけれど、古典的なモノクロフィルムらしいクラシックなざらつきある仕上がり。おなじ旧型乳剤のKodak Tri-Xに比べて価格が控えめなので日常使いのフィルムとして良いかと思う。

Fuji ACROS II

残念ながら廃盤となっなACROSの後継フィルム。驚くようなシャープネスは先代譲りだが、コントラストは先代より強くよりモダンな印象。イギリス製なのでもしかしたらILFORDへ製造を委託しているのかもしれない。

 

LEICA Summicron-M 50mm F2

1979年発売のSummicronから基本設計からほぼ変わっていない現行品。発売当時の凄まじい解像度は40年以上経過した現代においても第一線。いろんな50mmを取っ替え引っ替えしても結局これに帰ってきてしまうので、実は最初にこれを買っておくのが正解だったりするかもしれない。

 

LEITZ Elmarit-M 90mm F2.8

1959年発売なのでオールド感は否めない。開放で撮ると非常にソフトでふんわりとしたオールドらしいレンズ。絞っていくとしっかりとした絵を作るがモダンなレンズとは一線を画した春先のふわっとした空気感を演出してくれる。旧型乳剤のフィルムと組み合わせると本当にオールド写真になってしまうのでACROSのようなモダンなフィルムかデジタルライカと組み合わせるといいかもしれない。

ライツ黄金時代の製造なので造りは素晴らしく手が込んでおり、品の良い写りの良さと相まって手放せない一本。90mmという画角が悪いのかあまり人気がなく、中古市場の価格もお安め。

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