今年も残すところあとわずか。
一年を振り返りつつ買ってよかったと思うものを指折り数えていくと、「便利な何か」ではなく「使って心地よかったもの」だったことに気が付く。
10年くらい前はデジタル製品やガジェットめいたものを買っては屁理屈並べて喜んでいたけど、便利なものってどこまで行っても便利な道具でしかなくて、愛情持って使う何かにはなり得ないんだと思う。
Apple製品なんて最たるもので、よくでき過ぎていて血が通っていない製品になっちゃった。2023年になろうとする今、iPhone7を愛してやまない人ってほぼいないとと思う。昔のApple製品はどこか抜けてて愛嬌があったんだけど。
今年は買ってよかったものを5つ挙げた。
どれもが「これっきゃできねえ!」的な単機能だけど素晴らしいクオリティを持つものだ。これらは2032年になっても愛用していると思う。
- Tivoli Audio PAL
- 土屋鞄製造所のマネークリップ
- ロイヒトトゥルムのA5ノート/LAMY Safari
- Eastman Kodak Double X 5222
- CARL ZEISS JENA Flektogon MG 35mm F2.8
Tivoli Audio PAL
みなさんラジオは聴きますか?
聴かないって人はお手持ちのスマホにRadikoを入れてラジオを試してみてください。僕のおすすめは日曜20時からJwaveで放送されているTravelling without movingという番組です。耳で聞くエッセイと素敵な選曲がとてもいい番組です。
ラジオをよく聴くけどRadikoだよって人はいますぐアプリを終了してラジオを買いに行くのです。Radikoも悪くないけど、FM波を受けて音を出すラジオって音の厚さがまるで違うから。
今年買ってよかった物のNo.1はTivoli PAL。
ネットで見るとチープなインテリア家電っぽいんだけど、実物を触ってみるとずっしりとした重量感とマットなプラスチックの手触り、ダイヤルのトルク感に「おぉっ!」ってなり、出てくる音が想像以上の大きさで中音域が豊かに鳴ってくれて「これは…」と驚いた。
ドンシャリ&解像感を売りにしている新興メーカーの音とは明らかに違うし、試しに同じ音源使ってHomePod miniと比較したらTivoliの方が圧倒的に素直な音だった。良いか悪いか好みかどうかは別として、音が素直。Appleが最近やっているコンピュテーショナルオーディオはEQいじって無理やり解像感を上げているだけなんだよなぁと痛感する。
もっとお金を出せばいい音はたくさんあるけど、このクオリティをこの筐体に詰めてきたのは凄いと思う。
ラジオがインターネット経由で聴くものになってだいぶ経つけど、改めてちゃんとしたラジオで放送を聴くとネット経由のラジオよりも明らかに音がいいし通信エラーで放送が強制終了することもない。
アプリ立ち上げてスピーカーと繋いで認証して…なんて手間もかからない。スイッチ入れたら1秒程度で自然で耳障りの良い音が部屋を満たすのだ。
アンテナで受信するラジオの音質の良さだとか、ラジオ番組の心地よさというものがもっと多くの人に広まってほしい。
土屋鞄製造所のマネークリップ
クオリティの高い革が欲しい、できるだけシンプルな財布が欲しい…と探し回っていて出会ったのがこのお財布。
シボに覆われて手に吸い付く様な皮の質感が素晴らしく、実際に使っていると皮が曲がるたびにギュッって独特の音がする。エイジング後のサンプルもよかったので今から楽しみ。
カードが数枚しか入らないけど、銀行カードとクレジットカードと免許orSuicaが入れば十分。小銭はポケットに入れときゃいいよ。
ロイヒトトゥルムのA5ノート/LAMY Safari
このノートは結構前から使っているんだけど、今年思い切ってLAMYのペンと同じ色に揃えてみたら気分が上がった。
意識が他界してる層が好きなモレスキンはちょっと紙がだめなんですよ。ペラペラすぎてインクが裏に抜けまくっちゃうので金額とクオリティが合ってない。
ギリギリ嘘じゃないけど本当でもないあのスレスレマーケティングが苦手って人もぜひ試してみてほしいですね。
ロイヒトトゥルム、良い感じ。
Eastman Kodak Double X 5222
今年は400ft巻きの映画用フィルムに手を出してしまった。
4.5万円くらいしたけどこれ1巻から36枚撮り75ー80本が取れるので単純計算すると36枚あたり570-600円くらい。いつの間にかスルスル値上がりして36枚で2400円になってしまったTri-X400の1/4のコストで撮りまくれるし、なんならFOMAPAN100よりも安い。
安かろう悪かろうかといえば全くその逆で、値段が上がった割にはクオリティが下がっている現代のTri-X400よりもTri-Xらしい。適度にコントラストが強く良い写りをしてくれる。そして使っても使ってもなくならない。4月に買ったんだけど一向になくなる気配がない。
アラリスはフィルム価格をどんどん釣り上げる一方でコダックモーションピクチャーはこのフィルムの値段をあまり上げてこないのも良い。
CARL ZEISS JENA Flektogon MG 35mm F2.8
旧東側製の箱付き。
国家が崩壊する寸前の東ドイツ製のレンズなのだがクオリティに問題なし。前玉周りの銘がaus JeneではなくCarl Zeiss Jenaなので旧共産系に向けて作られた製品だ。
同時代のライカと比べるとプラスチック部品が多用されているものの、光学性能はずば抜けていると思う。20cmまで寄れるし発色もコントラストも申し分ないし古臭くないし。
すごいレンズだけど、設計の古さの割にオールドっぽさがないので安くて便利なレンズという位置付けになっちゃうので、オールドレンズ!ぐるぐるボケ!古いの最高!って人にはお勧めできないかなぁ。
今週のお題「買ってよかった2022」