analogue life

シンプルな暮らしとフィルム写真のこと

ステイトメント

先日ストリートフォトについて思うことを書いたら、感想のお手紙をいただいた。

やもすればBLOGなんてただの独り言で終わってしまうような、とても独りよがりなweb版自由帳なだけに時折反応をいただけると嬉しい。

ありがとうございます。

 

急ぎ過ぎている、というくだりが響いた。

このBLOGを始めた2017年頃を今振り返ると、ぼんやりしているとあっという間に世間の速度に絡め取られ考えたくもない問題を押し付けられ、国連やら政府、会社のような大きな組織が決めた「大きな物語」を押し付けられる世界だったと思います。

そんな世界に働き蟻として組み込まれたくない、というささやかな反抗心の元にこのBLOGのタイトルをanalogue lifeに決めました。

写真も音楽も、生き方そのものもデジタルな世界の「いちファイル」でありたくない。

もちろん生き方をそっくりそのまま昔のやり方で再生産できないけれど、生身の人間である以上アナログなところは残しておきたいし、心地良いゆるさで生きていたいと思ったから。

私は私であってあなたの望むような誰かではないし、そんな誰かになんてなりたくない。

この世に名を残さなくてもいいけど、管理なんてされたくない。

 

自ら超高速化する社会の囚人となる私達

三日坊主で終わると思ったBLOGは細々ではあるけど思いの外長続きし、いつの間にか4年も経ちました。

2021年も終わりに差し掛かろうという今、2017年に感じていた社会の圧迫感や速度は形を変えてさらに大きくなり、TVをつけてもネットを眺めても楽しい話は影を潜め、メディアが量産するどうでもいい問題提起が行列を作って視聴者の消費を待っている状況だと感じています。

コロナ禍の問題、SDGsだとかプラスチック削減のような一見まともに思えるニュースや問題提起は情報のシャワーのように毎日私達に降り注ぐけど、私達の目耳はこの過剰なまでの問題提起と綺麗事の押し付け、感情とイデオロギーが結びついたような情報の流れに中毒を起こし吐き気を催しているのではないか、とも考えています。

世の中には貧困の問題やひとり親の問題など、情緒的に声高に語られず社会の片隅にうずくまっている問題、もっと手を貸さなければならない物事がたくさんあるはずなのに、メディアの流す問題提起のみが問題として流通し、それに従うことを脅迫されているようですらあります。

 

焦りの内訳と疲労する心

これから世界はどうなるんだろう、自分の生活は?仕事は?

メディアから流れてくる間接的な脅迫は、私達の心をいとも簡単にネガティブな方向に持ち去り超高速化した世界の中で「急がされる人」を作り上げてしまうのではないだろうかと考えています。

加えてSNSのフォロワーの数だとかいいねの数だとか、私達はいつの間にか自ら望んでKPI管理されている工場の工員になっているとも思います。

傍若無人で向かうところ怖いものなしの10代であればいざ知らず、歳を重ね自分に残された時間が見えてくると、自分の意思や意図にはお構いなしに焦りが急加速を始めてしまう。

 

追われている、という幻想

焦りとは明確な形を持たない不安、ぼやけた輪郭の未来を伴って提示される強迫観念がその本質で、これらは時代が作り出した幻想ではないだろうかと思う。

人は焦りを感じると自動的に自分の気持ちを闘争ないしは逃避モードに切り替えるらしい。

「追いつかれないように走れ!」

「急がないとお前は何者にもなれないぞ!」

こんなくだらない幻想が姿を見せるとき、私はピクニックシートを持って公園に向かう。競走からの逃避と言われたらそれまでだけど、公園の芝生にシートを敷いてビールでも飲みながら昼寝することにしている。

ハンモックが吊れると尚更良い。

 

うすらぼんやりとして何の目標とも関連しない焦りは、きっと世間に流れる無言の脅迫以外の何者でもないのだから、この世相が作った幻想が過ぎるまで心のスイッチを少しオフにしたほうが良いと思う。

きっと周りの競争相手が私を抜いて走り去るだろうが、この不寛容かつ不安定な社会の中では、今は費やしたエネルギー以上の見返りは得られそうにない。猛スピードで走り抜けた人間が大成功するだろうと考えてしまうことも、焦りが産む幻想じゃないだろうか。

そう考えると気は楽だ。

 

N0282021

LEICA M6/Summaron-M 35mm F2.8/Fomapan100

 

ステイトメン

もう少しで始めて5年が経過するこのBLOGの方針を今一度宣言しよう。

勇気を持って今自分が足を突っ込んでいるムラ社会から一歩ずつ足を踏み出し、アナログに緩くいこう。

本質的な価値があると思うことを丁寧に書こう。このBLOGを書く気力がなくなったら、飽きたらすっぱりとやめよう。

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LEICA M6/Super Angulon 21mm F3.4/Adox CHS100II

 

と言うことで、引き続きのんびりやりますので、どうぞよろしくお願いいたします。