手は出すまいぞと決めていたM42マウントのレンズが我が家に到着した。
いつかは使ってみたかったCarl Zeiss Jena製Flektogon 35mm(ゼブラ前期型)である。
物心ついた時分、世の中にはバヨネット式のマウントしかなかったので、ねじ込むだけのスクリューマウントに対する印象があまり良くなかった。
精度大丈夫なのかとか、カチッとハマらないのって気持ち悪いよね・・・なんて思いがあってM42レンズを敬遠してきたのである。
が、うっかり買ってしまった。
この縞々かっこよくない?
Jenaレンズとの馴れ初めは、Photo Yodobashiのマウントアダプターレンズ特集。
あの特徴的なシマシマ模様は知っていたものの、この記事の写真がとても良い色気とモダンさを持っていたのがいけなかった。
Photo Yodobashiの中の人は写真が上手すぎる。
家の近所をぶらぶらして試し撮り。
目についたお花を撮ってみたんだけど、これ本当に60年前の設計製造かと思うくらいに色乗りが良くてシャープ。
ボケも大人しく、所謂オールドレンズみたいなボロい写りとボケを期待すると思いっきり裏切られる。とてもモダンな写りで驚いた。
確か被写体からの距離は大体80cm-100cmくらい。
同じお花を限界まで寄って撮ったのがこれ。
Flektogon 35mmはなんと18cmまで寄れる、ほぼマクロレンズと聞いていたけどこれにはぶったまげた。
普段寄れないライカばかり使っているからか、もうどこまでもにじり寄れることにもう笑うしかない。
Xpro1に付けている関係で換算50mmなので余計に寄れる。
マクロレンズを除けば現代の35mmレンズでも最短は30cm前後なので、18cmとなるともう異次元。
先日発表されたAPO Summicron 35mmだって最短距離は30cmだもんね。
FlektogonをXpro1に付けてぷらぷらお散歩。
色々慣れないのでF8-F11で目測で使う。
色味はこってり気味かなぁ。コントラストも気持ち良くオールドって感じが全然しない。
ガラスを透過する光の質感もいい。隅々までシャープさは失われない。
17時くらいの新宿の空。
Xpro1の撮って出しJPGなのだけど、この色味はなんとなくPortraっぽい。
デジタルで撮っているからかもしれないけど、モダンなコントラストとクラシックな色乗りが同居しているのかなぁとも感じた。
サイゼリヤのポテトの接写
被写体が適切かどうかは別として、テーブルフォトも普通にこなせる万能さはすごい。
ここまで寄ってもまだ寄れるとか、ちょっと只者ではない。
想定外だったのは点光源のボケのよさ。
点光源が綺麗に丸ボケを作るNikkor 58mm 1.4Gと近々比較してみたいと思う。
あれはとても良いレンズだけどFlektogonもいい線行ってると思う。
せっかくなのでフジの定番レンズXF 35mm F1.4とF2.8で比較してみた。どっちがFlektogonかわかるかな?
中央部分の等倍比較がこちら。右がFlektogon。
等倍で見ると違いがわかるけど、どっちが好ましいかと言われたら全く優劣がつけられない。
60年前の設計製造ということを考えると、細かいところで進歩はしているとはいえレンズというものは大して発展していないんだなぁと思う。
現代のレンズ設計者から怒られるかもしれないし、お前の目は節穴だとカメラファンからお叱りを受けるかもしれないけど私の感想は上記の通りだ。
光学技術は発展してきたけれど、費やした年数の割には全然発展していない。
微妙な傾きの補正は行ったけど、目に余るような歪曲は見られなさそう。
以上が簡単ではあるけど、うっかり手にしてしまった旧東側ツァイスのファーストインプレッションである。
フジXマウント向けのNOKTON 35mmが話題となっている中、へそ曲がりの私は60年前に旧東側で設計製造された35mmレンズに熱狂している。
これは凄いレンズだ。