**ごく個人的な見解を多く含むので、まぁそんなことあるよね…程度にお読みください。**
縦構図でカメラを構える人々
一眼レフを縦に構えて被写体ににじり寄るフォトグラファー…なんて感じのプロフィール写真を時々SNSで見かけることがある。
カメラを横に構えると顔のほとんどが隠れちゃうので、プロフィール写真としてはカメラを縦に構える方が理にかなっているし、世間的にフォトグラファー=カメラを縦に構えて被写体に寄る人…みたいな印象があるのかもなぁと思っている。
かく言う自分も、過去の写真をひっくり返してみると縦構図が7割くらいあって、改めて振り返ってみると「なんかいい気になって写真撮ってるなぁコイツ…」みたいな写真も沢山出てきて寒気と鳥肌でゾクゾクする。
Nikon D700/Sigma 50mm F1.4 EX DG HSM
Nikon D700/Sigma 50mm F1.4 EX DG HSM
そんな自分の過去は一旦置いておくとして、ここ2年くらい意図的に縦構図を禁止にしている。
理由は簡単で、なんとなく収拾がつかなくなるからということと、絶対に縦じゃないと成立しない写真を撮らないから。
収拾がつかない理由1:写真をならべた時に統一感がなくなる
その昔新美術館で見たアンドレアス・グルスキーみたいに、超巨大なプリントと小さなプリントがごちゃまぜになって美術館の大きな空間に飾られるような特殊例を除けば、写真の展示ってほとんどの場合小さなギャラリーだとか自宅の壁だと思う。
この規模感というのがまた曲者で、並べた10点中の1点が縦構図だったりすると、異様に目立ってしまうので、仕方なく縦横を半々にしたりすると途端に統一感がなくなってしまう。
縦構図を一枚入れてみたら途端に違和感がひどくなった例。みんな縦横揃えてるのに。
収拾がつかない理由2:フォトブックも同様に収集がつかない
写真をまとめて冊子を作った場合も展示と同様で、縦横構図がごちゃ混ぜになった状態でずらっと並ぶと、作る方も見る方もどことなく疲れるんですよね。
たくさんの文章やエッセイを挟んでいくスタイルなら、文章と写真のレイアウトで見せていくこともできるんだけど、自分の場合言葉が入らないので縦横が混在したり組写真を入れたりすると、途端に収集つかなくなってしまう。
その他の理由1:僕らの世界は横に広がってるものだから
ストリート写真なんか特にそう。
どんなにテクノロジーが進歩したとしても、ぶらぶら歩いてる時の僕らの目線は150cmから200cm付近をプカプカ上下してるだけなのである。
勿論世界は縦にも広がっているけど、僕らの生活はほぼ水平に広がっているのだから、縦構図で切るとどうしても写っているものの情報量だとか視点が横構図と違ってしまう。
LEICA M6/Summaron-M 35mm F2.8/Fuji ACROS
LEICA M6/Summicron-M 50mm F2/Kodak Tri-X 400
その他の理由2:スクエアフォーマットを使い始めたら縦横がどうでも良くなった
これは当たり前の話。
6x6フォーマットを使い始めると縦構図も横構図もなくなるし、日の丸構図が多くなるので構図がどうしたこうしたという呪縛から解脱できる。
HASSELBLAD 500CM/Planar 80mm F2.8/Fuji ACROS II
HASSELBLAD 500CM/Planar 80mm F2.8/Fuji ACROS II
縦横の比率が一緒だとどうしても中心へ向かう意識が強くなるので日の丸構図から脱却が難しくなるのは事実なんだけど、いいじゃないの日の丸構図で。
縦横に関する他の考察
そういえば手製の額も正方形にした。
四角形の縦横比には黄金比や白銀比初め色々な組み合わせがあるけど、正方形の強さって確実にあると思うんですよ。
額を存在感のある素材でがっちり正方形で抑えると、その中の世界は多少縦横があってもいい・・・かもしれない。
これは試していないからまだわからないけど。
LEICA M6/Super Angulon 21mm F3.4/ACROS II
これは鈴木恂先生の設計による明治通りに接する早稲田大学の施設だけど、ひたすらに正方形のモジュールで攻めてくる。
先生の作品に所々出てくる正方形は、ある種異様な存在感と空間の豊かさ、おおらかさを醸していると思う。
参考記事