analogue life

シンプルな暮らしとフィルム写真のこと

ひっそりと生産が終わっていたSilvermax

あまりに突然の知らせに驚いた。

このフィルムは専用現像液まで用意されていたしAdox社の看板フィルムだと思っていたので、こうもあっさり販売を終了してしまうとは夢にも思わなかった。同時にScala 160も販売終了とのことなので、商品名を統一するわけではなく本当に製造販売が終わったらしい。
Silvermaxの乳剤は旧製品のAGFA APX 100と同じ物でアグファゲバルトから供給を受けていた事は聞いていたので、SilvermaxもScalaも終わりということはアグファゲバルトが製造か供給のどちらかをやめてしまったんだと想像している。

本当にいいフィルムだった。さようならSilvermax。

N1192018

Bessa R3A/Summicron-M 50mmm/Adox Silvermax 

N0952019

LEICA M6/Summicron-M 50mmm/Adox Silvermax

N0902019

LEICA M6/Summicron-M 50mmm/Adox Silvermax  

あらたな常用モノクロフィルムを探して。

ここ数回の大胆な値上げによりkodakは常用フィルムとは言えなくなってしまった。富士フィルムKodakの後を追うように値上げを続け、新規ACROSは素晴らしいけれども常用フィルムと呼ぶ価格帯ではない。
という訳で、1本あたりの価格が1000円以下で調達できる常用フィルム候補を挙げてみようと思う。世の中には沢山のモノクロフィルムが存在するが、ラベルを張り替えているだけだったり、中身を詰め替えているだけだったりするフィルムが数多くあるので、そのようなフィルムはここでは取り上げない。*1

Adox HR-50(2020年3月現在の価格は880円〜)

Silvermaxよりシャープかつ微粒子でコントラストも高いモダンなフィルム。Rollei Retro 80sの乳剤を改良しているとのことなので特性はRetro 80sに似ており、アグファゲバルトから供給されているらしい。専用現像液を使うとより良い結果が得られると思うが、感度が50と低いことが原因かラティチュードは狭い。
なお、Silversaltさんで買うとなぜかScala 50の方が安いので(2020年3月現在の価格は810円)こちらを買ってHR-50として使うのが良いかと思う。

N1022019

LEICA M R3A/SummicronM 50mm F2/Adox Scala 50

N1022019

LEICA M R3A/SummaronM 35mm F2/Adox Scala 50 

ラティチュードが狭いので明暗差の激しい海辺の景色を撮ると、現実離れしたような夢の中のような感じに仕上がるのだけど、個人的にこの浮遊感が好きなので常にストックしている。

Fomapan 400(2020年3月現在の価格は630円〜)

チェコの巨人Fomaが製造する旧式乳剤フィルム。
粒状性は良くないけどラティチュードは広く、ハイライトからシャドウまで美しいグレイトーンを表現する印象。自然光豊かなところで使うと光って粒子だったんだなぁ、と改めて納得する。

N1522018

Bessa R3A/SummicronM 50mm F2/Fomapan400

N0082019

LEICA M6/SummaronM 35mm F2/Fomapan400

鳥居の写真はディスプレイで見ると黒く潰れているように見えるけど、プリントすると恐ろしく暗部のディテールが残っていて驚く。もしかするとSummaron 35mmの特性かもしれないけど、Fomapan 400のグレイトーンはとても良いと思う。

Fomapan 100(2020年3月現在の価格は580円〜)

方々で言われていることだけど、このフィルムはまともに使おうと思うと難しい。

ハイライトはぶっ飛ぶしシャドウは潰れるし粒状性は悪いのでザラザラだし、とてもじゃないけど優等生なフィルムだったSilvermaxの代わりとはならないが、コントラストのきつい作風の写真を撮りたい時はいいかもしれない。そしてこの価格はとても魅力的だと思う。600円以下で買えるモノクロフィルムは多分これしかないんじゃないかな。

N0112019

LEICA M6/SummaronM 35mm F2/Fomapan100 

N0102019

LEICA M6/SummaronM 35mm F2/Fomapan100

曇天専用フィルムとでも言えばいいのか、明暗差の薄い場所で使うと粒状性は悪いけど「雰囲気あるよね〜」な一枚に仕上がるような気もする。正直使い所が全然わかってないんだけど。

Ilford HP5 Plus(2020年3月現在の価格は880円〜)

Kodak富士フィルムが値上げに勤しむ昨今Adox、Fomaと並んで良心を持ってフィルムの製造を続けてくれているメーカーがIlford。このメーカーがなくなると正直困る。

IlfordのHP5 Plusは旧型乳剤のフィルムなのでSilvermaxはじめここで紹介したフィルムと同じ分類なのだけど、使ってみた感じはTri-Xを少しモダンにした印象に感じた。シャープさや精彩感はSilvermaxの方が上のような気もするけど、多分気のせいだと思うくらいのレベル。価格帯はSilvermaxと同じくらいなのでSilvermaxの代わりとしていいんじゃないかと思っている。

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LEICA M6/Elmarit-M 90mm F2.8/Ilford HP5 Plus

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LEICA M6/SummaronM 35mm F2.8/Ilford HP5 Plus

実は今まで喰わず嫌いで使わなかったこのフィルム。

初めて使ってみて思ったのは、適度にザラ感があるけどハイライトもシャドウもトーンがそこそこ豊かでちょっとモダンなTri-Xかなぁという感じ。もしかしたら最近発売されたSPUR Silversalt現像液で現像したからかもしれない。このフィルムを常用とするかどうかはもう少し使ってみてから判断しようと思う。

Ilford DELTA 100(2020年3月現在の価格は870円〜)

上記のフィルムと違いT粒子のフィルムがこちら。

とても緻密な描写である上、低感度であるにも関わらずラティチュードは悪くないと思うんだけどどうにも優等生すぎるきらいがあって最近あまり使っていなかった。価格もTmaxのようにべらぼうな単価ではないので、もっと積極的に使ってもいいかなぁと思う。

N0302017

 Bessa R3A/Summicron-M 50mm F2/Ilford DELTA 100

N1102019

Rolleicord IV/Xenar 75mm/Ilford DELTA 100

35mmフィルムに比べて中判フィルムは一段と選択肢が狭くなるので、最近このDELTA100の出番がまた回ってきた感じ。改めて使うととてもいいフィルムだなぁと思う。

 

*1:例えば2020年3月現在、LomoのEarl GreyとArista Edu 100はともに中身はFomapan 100だと言われている。詳細はList of Photographic films[wikipedia]を参照。