analogue life

シンプルな暮らしとフィルム写真のこと

豚汁2.0

みんながあまり気づいていない(と勝手に考えている)二日目の豚汁の旨さについて。

寒い夜に啜る出来立ての豚汁は勿論美味いのだが、翌日に温め直した豚汁も実に美味い。鍋の底に残る煮崩れた野菜と豚肉の残骸が醸し出す旨味のカオスが脳を駆け巡るのだ。

土曜日の朝はあまりにも寒かったので早朝から豚汁を作る。

冷え切ったキッチンでどうにか暖を取りたかったし、朝から豚汁を煮込めば部屋も暖かくなり夜には豚汁Day2が楽しめるだろうと思い冷蔵庫に寝ていた野菜を切る。料理写真のお供はRICOH GRIIIだ。

人参が大きく切られているのは僕の人参に対する恨みの表れだ。要するに人参がきらいなのだ。

冷たい水を鍋に張り、大根と人参を放り込む。

えぐみを取るために一煮立ちさせたら湯を捨て根菜を冷水に潜らせる。水道水の冷たさは過激だしまだ外は薄暗い。

豚肉は別に炒めてから煮込む派。

煮立った鍋に直接放り込むと灰汁取りが面倒臭いし、胡麻油で炒めておくと風味が素晴らしくなるのだ。

ここまでの3枚はGRIIIに新しく加わったネガフィルム調というフィルターをかけたもの。Twitterでも話題になった通りのいい感じの雰囲気が出ている。

ちなみに我が家では煮物と炊飯に琺瑯鍋を使っている。

煮物が美味しく仕上がるのは当たり前として、琺瑯鍋の炊飯は時間も短く済むし美味しく炊ける上、置き場に困る炊飯器をキッチンから消せるのが良い。
炊飯は鍋底が平たいル・クルーゼかご飯炊きに特化したストウブが良い。

一方で料理の工程に炒めが入る場合は鍋底がでこぼこしてるバーミキュラかストウブがおすすめ。真っ平のル・クルーゼだとひっついちゃう。

豚肉にある程度火が通ったら別皿に移し、新たに水を張った鍋に大根、人参、ねぎ、ごぼう、昆布出汁をぶち込み火をつける。強火。

ぐつぐつ沸騰したら豚肉をそっと乗せて弱火にして蓋をする。さぁここから長い旅だ。いってらっしゃい。

7時間ほど火を止めたり味噌入れて煮たりしたら旅路の終わりが見えてきた。編隊、とまれ!

大根も人参も煮崩れており肉もバラバラになっていて良い感じ。冷蔵庫の中につみれが残っていたのでこれもぶち込む。家のならず者がホタテの紐を残して溜め込んでいた。不届だ。これもぶちこむ。

さらに1時間ほど煮込むと鍋底に旨味のカオスが生まれる。

おたまで鍋底をさらい汁を足し、刻み葱を乗せ一味唐辛子を振りかけたところで、豚汁Day2ともつ煮込みの違いがわからなくなってきた。もつ煮込みと豚汁ってもしかして…もしかして…。

豚汁とはなんぞや?というそもそも論を紐解くと、僕の作る豚汁はけんちん汁と豚汁のハイブリッドらしい。けんちん汁は豚肉を使わない代わりに昆布出汁と胡麻油を効かせるので、僕の豚汁にはけんちん汁のエッセンスが入ったものだ。

豚肉をもつに変えてさらに煮詰めて水分を飛ばすともつ煮込みになるので、もつの代わりに豚肉が入っている汁物が豚汁なのかもしれない。要するにこの3つは従兄弟のような関係で、僕の大好きな豚汁Day2はけんちん汁と豚汁ともつ煮込みのエッセンスをぶち込んだハイブリッドなスープなのだ。豚汁2.0と呼んでもいいかもしれない。

あまり物の野菜と豚肉でこんなに幸せになれるんだから豚汁とは大したやつだ。玉村豊男先生が料理の四面体を改訂することがあれば是非豚汁についても大いに語って頂きたいなぁと思う。

写真の話がほとんどなかったけど、それにしてもGRIIIのネガフィルターはいい感じだと思った。