analogue life

シンプルでアナログな暮らし

ねこがなかまになりたそうにこちらをみていた

この季節になると、大好きだった2匹の猫のことを思い出す。

 

大柄な白黒お母さん猫は、悪性リンパ腫で亡くなってしまった。

どうしても外せない仕事関係者と夕食を摂っていたら、猫の容体が急に悪くなったと家族から連絡があり急いで帰った。

いつもなら走って僕を迎えに出てくる彼女の命が消えようとしていた瀬戸際にどうにか間に合った。戸棚の下でうずくまって僕の帰りを待っていたお母さん猫、もう立てない程弱っていたけれど、どうにか喉を鳴らして最後の挨拶をした後、ぐったりと息を引き取った。

 

もう一匹は茶色い毛皮のちょっとドジな猫。

くしゃみが止まらなかったので病院へ連れて行ったが既に手遅れだった。どうにか帰宅させたかったけれど、冷たい病院のステンレスケージの中で息を引き取った。元々病院が大嫌いな子だったので、躊躇ってしまった僕に責任がある。

 

1週間に立て続けで猫の火葬を行い、この子たちを知る人を集めてささやかなお見送りをした。

その後、僕は仕事を辞めてしばらくの間塞ぎ込んだ。長い時間を共有した猫たちとの別れは想像以上に辛かった。

あれから2年が経った今も骨壷はまだ玄関に置いてあって、僕が死んだら三途の川に迎えに来てねって声をかけている。だいぶ先になるけれど。

猫の一家との不思議な馴れ初め

この子たちは元々野良猫だった。

昔僕が住んでいた家は賃貸物件なのに庭があり、お隣さんと一つの庭を共有していた。その庭にある日ひょっこり現れた小さな白黒猫と目が合ったところから僕らの関係は始まった。

餌付けすることもないのに毎日庭に現れてはゴロゴロする白黒猫。近づいても逃げてしまうので、僕らのことが好きというよりは日当たりの良い庭が良くて通っているのだと考えていた。

 

そんな関係がしばらく続いた後、白黒猫は僕とお隣さんの家に交互に通うようになった。

夜の闇に紛れて茂みの中に隠れていて、夜遅く帰ってくる僕の後ろをひょっこり付けてくるようになった。餌付けをしたわけじゃないのに。どうも僕らは猫の側から時間をかけて品定めをされていたらしい。

 

白黒猫は家に入っても悪戯はせず、玄関に敷いたマットの上に座ってのんびりして、真夜中になると外に帰っていくという不思議な関係がしばらく続いた後、ある日を境にこの白黒猫はパタリとこなくなってしまった。

 

きっとどこかで事故にあったか猫虐待に遭ってしまったか*1で亡くなってしまったんだろうと気落ちしていたら、最後に会ってから1ヶ月後くらいにあの白黒猫が満面の笑顔と共に僕らの庭に入ってきた。そしてよく見ると、この子の後ろに4匹の子猫が付いてくるではないか。まだよちよち歩きの子供を自慢げに連れてきたのだ。

 

我らが庭に横になって授乳を始めたお母さん白黒猫を眺めているうちに、どうにかこの子たちを幸せにしなければならない使命のようなものが僕らの中に芽生えた。栄養分のある食事を用意し、子猫の引き取り手と引っ越し先を急いで探し始めた。

幸い子猫の器量が良かったので知り合いが二匹を引き取り、僕らは白黒お母さん猫とその娘猫、茶色のドジっ子と一緒に引っ越した。

あれから時は流れ、いま

いまは白黒お母さん猫が残してくれた娘猫と一緒に暮らしている。

随分と甘えん坊の子で、毎晩一緒に寝て一緒に食事をして、仕事をしていると必ず邪魔してくるしオンライン会議にも出席するので、もはやニコイチのような関係になっている。この文章を書いている今もソファの肘掛けに箱座りしてMacにやきもちを焼いているし、カメラはこの子の枕だ。

ねこがなかまになりたそうにこちらをみてる

猫との暮らしはペットショップでお金を出して始まるものではないと思う。

倫理的な観点から犬や猫の命をお金でやり取りすることは反対だし、そもそも猫に関しては人が猫を選ぶのではなく、猫が人を選ぶのでははないだろうか。猫が仲間としての人間を選ぶのだ。

 

この子たちとの馴れ初めのような経験が今後もできるかわからないけれど、次にまた猫をお迎えすることがあるとしたら、猫が我が家を選んでくれた時だと思う。

亡くなってしまったお母さん白黒猫のような子が、いつかうちの玄関にひょっこり立っていてくれたら素敵なのだけど。

 

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*1:当時住んでいた場所は猫虐待でニュースになったこともある