analogue life

シンプルな暮らしとフィルム写真のこと

ボタンフライのブラックデニムを探す旅

去年買った無印良品のブラックデニムが早くもヘタってしまった。

これは無印良品がダメなのではなく、夏が過ぎると毎日のようにブラックデニムを履いてカメラをぶら下げひたすら長い距離を歩く僕の生活に無印良品のパンツが負けてしまったのだと思う。2本買ってローテを組んだのに1年経たずに生地がヨレてぺろーんとしたコットンパンツになってしまった。

インディゴなら洗いを繰り返して少しヨタったくらいがいいんだけど、型が崩れてぼてっとしたブラックデニムはちょっとイモっぽいのでブラックデニムは型崩れしない程度の硬さがあって欲しい。履き心地と型の強さはトレードオフなのだ。

そんな訳で今年はちょっとお金をかけて頑丈そうなブラックデニムを2本選定した。

基準は黒が締まっていること、頑丈そうなセルビッジデニム生地を使っていること、できれば綿糸を使っていないこと、シルエットがモダンであることに加えてボタンフライであることなのだが、いざ探すとそんな都合よく条件に合うものはない。

 

とりわけボタンフライは譲れない。

初めて本物のデニムの啓示を受けた時はボタンフライに出会った時なのだ。ガサガサの食パンのようなあの素朴さが良いのだ。厚地のデニムに力強く打たれた金属製のボタンの燻んだ輝きや佇まいも好きだし、ひとつずつボタンを閉める所作も良い。初めてリーバイスの501に足を通して以来ボタンフライじゃないと嫌なのだ。

はじめてボタンフライのデニムに足を通すことはある種の大人になるための儀式だと思う。

悩んだ挙句にラルフローレン(Double RL/RRL)と桃太郎ジーンズのブラックデニムを今シーズンのローテーションに選んだ。数あるメーカーの中でもこの2つはとても感触が良かったので、その感動を書き残してこうと思う。僕のようなブラックデニム難民がいるかもしれないから。

 

まずはシルエットと生地の秀逸さ。

モダンなシルエット代表のA.P.C.のプチニュースタンダードと比べてもこの2本は似たような裾幅で、どちらもスタイルに気を使っている。生地の厚さもそれぞれ13.5オンスと15.7オンスと十分な重量感がありセルビッジの幅も適度に細めで良い。

RRLはアメリカ製のジーンズであることに並々ならぬ自負を感じる。

日本製の生地を使っていることをアピールしていながらボタンや縫製のディテールにアメリカっぽい荒さが残っていたり、アメリカ人向けに作っていると思わせるヒップの大きさが(良い意味で)アメリカの田舎っぽくて良い。

 

一方の桃太郎ジーンズの出陣ラインはヴィンテージデニムの要素を取り入れつつも盲目的な追従をしていないところが良い。

必要なディテールを踏襲しながらもシルエットを現代的に修正しており、また恐ろしい深さの黒を実現している。RRLよりも一段黒が締まっているので、二つを並べるとRRLがグレーに見えてしまうほど黒い。

インシームのステッチが桃色なのも面白い。

 

全体的に良くまとまっているんだけど、桃太郎ジーンズに関しては(怒られるかもしれないけど)ブランド名と革パッチは改善の余地があると思う。

正直な話、ブランド名や勇ましいシリーズ名から仄かなネトウヨっぽさ、外人狙いを感じ取ってしまい僕は敬遠していた。いざ製品に触れてみると素晴らしいだけに、この「消費者にリーチしない感じ」がなくなればもっと愛されるのになぁと思う。

次はインディゴのデニムを買ってみたいと思う。