analogue life

シンプルな暮らしとフィルム写真のこと

曖昧な詩情と夢想家じみたリアリティ

先日TwitterのTLに上がってきた渡部さとるさんの2B Channelが非常におもしろかった。リンク先の動画では渡部さんがHASSELBLAD X1DIIの凄さについて語っているんだけど、話の中で登場したどんど焼きの作例がとてつもなく素晴らしく、炎の中にあれだけの色情報があったのかと我が目を疑った。

実は渡部さんを(写真をやっているにも関わらず誠にどうしようもなく失礼ながら)存じ上げなかったのだけど、ずっとはてなBlogを追っかけてきたあの渡部さんだった。ようやくここで色々つながった感がある。

声高なポジショントークや煽りに走りがちなインフルエンサーが跋扈する昨今にあって渡部さんのソフトな語り口が非常に心地よく、気がつくとあっという間に時間が過ぎ去っていた。

satorw.hatenadiary.com

渡部さんのX1DII評にもある通り、907Xに載っているこのセンサーも只者ではない。

エントリーのレンズとセットで80万円を超える機材なのだから只者であってもらうと逆に困るのだが、これだけの画質を80万円で買えてしまうのだと考えるとやはりすごいものがある。新しいライカのM11なんて、APO-Summicron 35mmと合わせたら220万円を超えてしまうのだから。

 

写真的な写真ってなんだろうと時々考える。

スーパーの店先で買ってきた花を花瓶に挿していたら、とても柔らかな朝の陽光で部屋がいっぱいになったので麻で織られたカーテンの前に花を置いて写真を撮ってみた。いつも通りTmaxを詰めたHASSELBLAD 500C/MとPlanar 80mmの組み合わせで一通り撮ったあと、907XとXCD45mm F4Pの組み合わせでトレースした。

N0192022

HASSELBLAD 500CM/ CF Planar 80mm/Kodak Tmax100

 

N0202022

HASSELBLAD 907X CFV50cII/ XCD 45mm F4P

このトレース作業はどことなくフィルムで撮ったカットの答え合わせのような工程だった。

フィルムと最新のセンサーを比べたいわけでもなく最新のXCDレンズの性能を過去のZeiss Planarと比べたいというわけでもなく、ただ自分の意図した表現を2つの機材がどう表現の手助けをしてくれるのかを確認してみたくなったからだ。

結果は各人の感想に委ねたいと思う。

麻のカーテンを白く飛ばして蕾や茎の柔らかさを陽光の中でふんわりと撮りたい、時間が止まったような詩情のある切り取り方をしたいという最初の思惑の答え合わせとして907Xで撮ってみたら想像以上に色情報がリッチで驚いた。植物のダイナミズムとでもいえば良いのか、詩情っぽさがどこかに飛んでいってしまった気もするのでDxO PL5でもう少し華やかにしてみた。これはこれで良い。

物事には適材適所ってものがあると思う。どちらが優れているというわけではないのだ。