これはもっと世の中に知られてほしいレンズだと思った。
こんなに素晴らしいレンズなのに、いつまで待ってもPhoto YodobashiがCOLOR-SKOPAR 28mm Type IIのレビュー記事を書かないので*1、フォトヨドが行きそうな場所をぶらぶらして写真を撮ってきた。どうにかフォトヨドに寄せた文体の記事を書いてみようと思ったけどやってみたら無理だったので、写真のみ参考にして頂ければ。

容赦無く降り注ぐ夏の太陽が作る短い影。
すっかり色の褪せた手すりと時間の流れに負けない石材。コントラストのきつい場面でも階段や手すりの素材感をよく捉えていると感じる。

天候が大崩れする前の海岸にて。
スマートフォンが一般的になって以降、ずっと広角レンズの代表だった28mmが標準レンズになったように思う。カメラの性能によるところが大きいとは思うけれど、雲の重量感が伝わるだろうか?

引き続き重量感のある雲…と超重量級の貨物船の組み合わせ。
鉄の塊感のある巨大な貨物船と厚めの雲の質感が感じられる写りで、隅から隅まであるがままを写してしまう凄さを感じる。

みんな大好き(だと思う)大さん橋の通路で開放のテスト。
評判通り周辺落ちが発生するが、程よい感じの落ち方で実に心地よい。個人的にはこれくらいの周辺落ちはドラマティックさを演出するのでありだと思う。
デッキ材の質感も中央と周辺であまり変わらず、流れたり解像度の極端な劣化もないように見える。

開放で手前の被写体にピントを合わせる。遠景のボケもそれほどうるさくなく自然な印象。
このレンズの売りのひとつが最短50cmまで寄れることなのだが…現行品のElmarit28mmが70cmまでしか寄れないので大きな進歩かと思ったけど、20cmの差は広角レンズだとあまりメリットがないと思った。50mmレンズでこれくらい最短距離が短くなったら感動して横転する。

歪曲に関してはとても優秀な設計じゃないだろうか。
よく見れば歪んでるのかもしれないけどぱっと見て気づくほどの歪みは見られない。コシナの設計は歪みをとても上手に抑えているように思える。

タイルを敷き詰めたパースのきいた場面でも気になる歪みは見られない。
微妙に歪んでいるあのむずむず感がこのレンズには感じられない。スカッと整っている感じがとても良い。

帰宅を急ぐ人が続々と集まる夕方の新橋駅にて。水平垂直が強調されるような場所でも歪みなく使える安心感がある。

夕方の有楽町のガード下。程よい周辺落が心地よい。
たしかF4かF5.6だったと思う。遠景のボケはおだやかで周辺落ちと併せて雰囲気ある描写。人工的な光源で埋め尽くされている場面の色乗りもよいのではないだろうか?

この時間の銀座に漂着したということはレンズのテストもそろそろ終盤。
数日このレンズをつけっぱなしにして撮り歩いたが素晴らしく取り回しが良い。小ささと軽さは正義だと思う。

軽くて小さいのに写りは実にモダン。それでいて6万円台という価格設定。難を挙げるとすれば、あまりに少数生産のために入手難で現物をみる機会がほぼ無いことことくらい。
フォクトレンダーのレンズは名作揃いと聞いていた通り、光学性能も申し分ないし表面の処理も手抜きがなく、まさに隙がない製品という印象。コシナ製品の品質の高さは熟練工による小ロットの手組み生産とのことで、これはドイツのものづくり思想に近いものがあるのだと思う。
純正のライカレンズを買いたくなる気持ちはわかるけど、現行品のElmaritよりも優秀な光学性能とも囁かれるこのレンズ、実用品として最高な一本と思うのだがどうだろう?
この記事が本レンズを検討している人の一助になれば。
参照記事
*1:2025年8月10日現在