analogue life

フィルムが捉える世界は美しかった

小さな物作りを仕事にしたい

働き方改革が意外にも身近なところまで来ていた

仕事の打ち合わせ中、出席者のひとりが唐突かつ堂々と「最近副業で始めた方の仕事が順調なんだよねー」とか言い始めた。

何言い始めるんだこの人って呆気に取られていたら、いつの間にか我が社の内規が変わって副業OKの会社に大変身していた。世の中そんな会社があるのは知っていたけど、どちらかと言えば我が社はコンサバ寄りな会社なので、まさかこんな時流に乗っかっていたなんて予想だにしていなかった。

そして、そんな重大なルール変更が社内の一部を除いて知らされていなかったことに一同騒然。もう、只々「たまげたなぁ」が感想である。

www.recruitcareer.co.jp

リクルートキャリアの調査によれば20189月時点で副業を容認している企業は全体の28.8パーセント。調査対象は業種、規模がきれいにばらけているのでまずまず真実に近い数字だと思う。

N1652018

Bessa R3A/Summaron 35mm F2.8/Kodak Tri-X 400

 

昔のこと、これからのこと

私事ではあるが、建築設計と写真でどうにか独立して飯が食えないかと考えあぐねた時期があったものの、経済的な不安と経験の少なさからまずサラリーマンを始めてこっそりインターンをやっていたり勉強を続けてきた経緯がある。

いつかどこかで機が熟したらなんて思いでぼんやりしていたら、いつの間にか家庭が出来上がってしまいさらに独立が遠くなって今に至る。

主たる収入源でなくてもいいから、何かしら物作りをして仕事の対価を得てみたい、自由に自分の仕事をしていたいと云う思いが飛び出しそうになっている。まずはこれを機と捉え小さな1歩踏み出してみようと思う。

実は以前もこっそり小遣い稼ぎをしていたりもしたので、確定申告でヘマしたりよっぽどのことがない限り副業がバレないのは経験上わかっている。
そんな訳で、副業が禁止されていても1歩踏み出すこと自体はできた筈なんだけど、身近な人間がきちんと副業で結果を出しているのを目の当たりにすると、ちゃんと自分自身もアップデートしてやらなきゃいけないと痛感した次第。

N1712018

Leica M6/Summaron 35mm F2.8/Fuji ACROS

 

屋号だけは既にある

ある時期プラムのある家に住んでいた。丁度野心溢れる将来像を持っていたその時分、ぼんやりと自分の将来を妄想する中で “Studio Plumhouse”と云う屋号を思い付いてそれをこっそりしまっていた。もしかしたら写真事務所かもしれないし建築設計かもしれないし、はたまた超小規模なブルワリーかもしれないけれど、何かを作る「場所」としてStudio Plumhouseという屋号を使えたらいいな、と思っていた。どうせだからこの屋号をそのまま使おう。

N1682018

Leica M6/Summaron 35mm F2.8/Fuji ACROS 

 

何をやろう、何から手をつけよう。

写真事務所をやってみるのは結構ハードルが高そうだけど、まずは手始めとしてflickrに上げる写真はStudio Plumhouse名義にして、きちんとクレジットを入れてみた。人の評価はわからないけど、自分の中では何かを考えてシャッターを落として現像してきたものだから我が子のように取り扱ってあげたい。

N1702018

Leica M6/Summaron 35mm F2.8/Fuji ACROS

 

屋号を掲げたら次は何か仕事を取らなければない。

せっかくだから何か面白いことをやりたい。収益の話は一旦置いておくとして、熱中できる仕事をやりたい。同じようなことを考えている仲間がいたらいいな、なんて思っていたりもする。

フィルム写真の始め方

フィルム写真が復興している予兆

先日某量販店で若い子がフジ記録用100を机に並べて店員さんに「CDに焼いてください」なんて注文をしている場面に遭遇した。その数日後にフィルムを買いに入った小売店でお会計を待っていたら、これまた若い子がフィルムの装填方法を店員さんから教わってる場面に出くわした。あまり実感はないんだけど、着実にフィルムカメラは復興しているのかもしれない。

Google Trendで過去5年間の「フィルムカメラ」の検索推移を調べてみると、フィルム写真が少しずつとはいえ確かに検索ワードの上昇トレンドに入っているし、同様に「Film camera」で全世界を対象に過去5年間の推移を見てもやはり同様のトレンドのようだ。爆発的なブームなんてロクなことがないので、このままじわじわと上げトレンドが継続して、どこかでデジタル写真とフィルム写真の均衡点に達してほしい。

そんなほのかな願いを込めて、まさか2019年にもなってフィルム写真を始めようと思う人に向けてささやかな記事を書いてみようと思う。

 

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フィルムカメラはどこで買う?

キャノンがフィルムカメラから撤退してしまったので、現在新品でフィルムカメラを買うとしたらNikon FM10F6かライカMPかライカM-Aくらいしか選択肢がない。一番安いFM10でもボディだけで4万円前後でF627万前後。ライカはいずれも60万程度なので、軽い気持ちで「取り敢えずフィルムカメラを使ってみたい」人は中古を探すのが良いと思う。

papacame.com

東京周辺なら銀座新宿界隈を中心に、レモン社やスキヤカメラ、マップカメラやラッキーカメラ等々優良な中古カメラ屋がひしめいているのだが、実際に一軒一軒眺めて回るのは相当時間がかかるので、Camerafanさんでこれらの店の在庫を一網打尽に検索してからお店に向かうのが良い。

camerafan.jp

もし既にNikonCanonのレンズ資産を持っていて、AFのついた便利カメラをお探しの場合はF-801だとかF-80D、EOSシリーズを探してみるといいかもしれない。F-80Dとかなら1万円未満でボディが買えるので、Portraなんぞを詰めて最新のナノクリレンズを使ったら面白いかと思う。Nikkor 58mm F1.4とか絶対面白い。

photo.yodobashi.com

フィルムはどこで買おう?

KodakPortraEktar、フジのProHIlfordあたりならまだ都内の量販店で買える。最近はビックカメラArista Edu(中身はFomapan)を置いてたりするし、初期衝動に任せて気になるフィルムを調達する場所としては良いと思う。

運悪くフィルム沼にハマってFomaAdox、フジ記録用やCinestillのフィルムが欲しくなってしまった場合はかわうそ商店さんかSilversaltさんから仕入れることになるが、神奈川方面に住んでいる幸運な方はカメラはスズキさんと云う素晴らしすぎる店が横浜駅ジョイナスの中と元町にあるので、実写サンプルと豊富な在庫にまみれて買い物をすることができる。500円払えばフィルムガチャもできたりする。

silversalt.jp

kawauso.biz

filmmer.hatenablog.com

気の毒にもフィルム沼にずぶずぶと嵌り月に何本もフィルムを消費するようになった方はB&Hに行くしかない。レートにもよるがKodakIlfordのフィルムであれば信じられないような価格で買える。Adoxはなぜか日本で買ったほうが安い。

aremo-koremo.hatenablog.com

フィルムも安いがライカはじめ写真機材も安いので、気がついたらすごい買い物をしている可能性すらある。

www.bhphotovideo.com

1USDが100を切ったら…と思うとポチりたくなっちゃうかもしれない。

 

現像はどうする

まずは量販店で現像をお願いすればいいと思う。量販店でも小規模のお店でも現像とフィルムスキャンを同時にやってくれるので、予算が許せば現像とプリントとスキャンをお願いしてフィルムの味を比べてみると面白い。 

ことKodak純正現像に関してはモノクロネガならフォトラボオクダ(Lab21)さん、カラーはKJイメージングさんがリーズナブルかつ丁寧な現像をしてくれるのでお勧めできる。しかもフィルムを郵便で送って現像をお願いすると現像完了後にレターパックでネガを返送してくれるので、とてもありがたい現像所である。

4696bw21.com

何かの不運でモノクロリバーサルフィルムの美しさに目覚めてしまった貴兄は、さらに現像所の選択肢が限られてくる。この美しいモノクロフィルムに嵌ってしまった場合は麻布の田村写真さんかSilversaltさんのモノクロリバーサル現像サービスを利用するしかない。Tri-Xの純正現像の2-3倍程度の費用がかかるけど、個人的にはこの泥沼に是非嵌って頂きたい。現像から上がってきたフィルムを光にかざすと、そこには驚くべき精緻な世界が広がっている。

www.tamurasyasin.com

自宅スキャンするのも悪くない

量販店だとかネット現像所でフィルムスキャンを依頼すると、大体現像代プラス500円くらいでやってくれるのだけど、スキャニングの質だとか料金を考えるとお店には現像のみお願いしスキャンは自宅でやってしまうのも悪くないと思う。

我が家ではPlustek 8200aiTIFFにスキャンした写真をlightroomjpegに変換しflickrに上げている。このスキャナに付属するSilverfastと云うソフトの出来の良さに甚く感銘を受けている。業者のスキャンと比較しているので是非見比べてほしい。

filmmer.hatenablog.com

 

踏ん切りがつかない貴方に進める使い捨てカメラ

フィルムカメラが欲しいけどどうにも踏ん切りがつかない。そんな貴方は使い捨てカメラをお勧めする。使い捨てカメラと云うとフジの写ルンですが思い浮かぶけど、世の中にはIlfordのフィルムを詰めた使い捨てカメラだとか、Lomoのフィルムを詰めた使い捨てなくてもいいカメラだとかが売っていたりする。特に後者のLomoは予め詰めてあるフィルムが使い終わったら、フィルムを詰め替えて使えるスグレモノ。

2019年なったしこの機会にフィルムカメラに挑戦したいけど、いまいち踏ん切りがつかない。そんな貴方に是非使って欲しい。

www.cybergraphics.co.jp

 

shop.lomography.com

 

2019年の抱負

今週のお題「2019年の抱負」

2018年の仕事納めはほぼほぼ「仕事の強制終了」だった。

アレもできてないコレも終わっていない、締切なんてとうの昔に過ぎてるし今更1週間遅れたってどうってことないよねーアハハー…なんて雰囲気のまま仕事納めの日に突入し、終わらなかった仕事は年明けに急いでやろうと傷を舐め合いながらの強制終了。

www.d21.co.jp

きれいさっぱり仕事が納まった2017年は寿司屋のカウンターに一人で居たのだけど、今年はやけくそで大人買いしたフォマパンを握りしめ、新宿ベルグで苦悶の表情を浮かべながらソーセージを頬張っていた。

働き方改革には旧来の日本人的な「突き詰めるための残業」をやめて「見切りをつけて前に進む速度感」が含まれていると勝手に考えている。おそらく日本の官公庁や民間企業(特に内資系)には無い考え方だろうけど、残業に残業を重ねて完成度95%を99.5%に昇華する時間があるなら、95%の完成度で見切りをつけて次に向けて走り出すことが大切だと個人的に信じている。

ミースは神は細部に宿ると言ったらしいが、ディテールをきちんと納めたければ最初にきちんと基本的な思想を整えることに時間を割いておけば残業に次ぐ残業と、誰も意思決定ができずにズルズル時間だけ浪費した割に何らディテールが詰まっていないような事態に陥らずに済むと思う。

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 Bessa R3A/Summicron-M 50mm F2/Kodak Portra160

完成度5%の差が致命的な欠陥に繋がるのでは困るけど、どうでもいい拘りだとか合意形成に端を発する5%であるのであれば時間をかけるだけ無駄なのだから。

 

抱負は見切り際を身につけることとする

と云う訳で、2019年の抱負は「見切り」にしようと考えている。

2018年は仕事と私生活が激し過ぎて最後の方がメンタルの折れる音が聞こえ始めたので(それでうっかりM6買っちゃう訳だけど)、2019年は無理をしないこと、危ないなと感じたら見切りをつけることにしようと思う。身体も心も一度大きく崩すと元に戻すのはとても大変。場合によっては些細なきっかけで人生を狂わせてしまうかもしれないのだから。

filmmer.hatenablog.com

 

買い物も見切り際が大切

もう一つの抱負は買い物の見切り際にしようかと思っている。行くのか止めるのか、ボールペンと身分証を握るのかボーナス払いの支払日を店員に聞くのか。2018年は踏ん切りが付かないがために、何度となく欲しかったものを取り逃がした。

スキヤカメラさんで見たあのM4ブラックは今どこにあるのかなー、あのきれいだったM6ウェッツラーは誰かが大切に使ってるんだろうなー、とか。そういえば目の前に出されて値段にビビって買えなかったプラウベルマキナ670はもう無いよなー、とか。

今年は狙っているものが目の前に現れたらきちんと向き合おうと思う。

まずはシュナイダーのクセナー50mmから始めようと思う。エルマーとかエルマリートは数がありそうだし。あとはモノクロリバーサルをもっとたくさん使いたい。お金はかかるけど使えるうちにAdox ScalaとFomapan R100をもっとたくさん使おうと思う。

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 Bessa R3A/Summicron-M 50mm F2/Adox Scala

 

N1642018

 Bessa R3A/Summicron-M 50mm F2/Fomapan R100 

 それでは皆さま良い休暇を!

Fomapan R100には中毒性がある

今年使ったフィルム

2018年を振り返ってみるとカラーネガはPortra 400のほぼ一択で時折Ektarとフジ記録用を使う程度だった。その一方でモノクロフィルムはTriX 400Tmax 400、フジAcrosAdox SilvermaxFomapan 400Adox ScalaFomapan R…と手広く使った一年だった。

特に今年初めて手を出したモノクロリバーサルフィルムには甚く感動し、酒やめるからと自分自身に嘘ぶいて高い現像代を見なかったことにして結構な本数を使った。とても精緻で空気感と湿度感が素晴らしく、デジタルはもう要らないなぁと思うに足る質感。モノクロリバーサルは癖になる。

filmmer.hatenablog.com

 

印象に残ったフィルム

クリスマスのグリーティングカードだとか年賀状に使う写真って、ほぼ間違いなくその年に撮った気に入った一枚だったり大切な一枚だったりする。今年もイラレとにらめっこしつつ写真の差し替えを繰り返した挙句、年賀状の写真に選んだのはFomapan400で撮った何の変哲も無い猫の写真だった。

来年の干支でもないしこれと言って素晴らしい一枚でもないし、そもそも正月からモノクロームってどうなのよと文句も出たけれど、写真を選んだ本人も理由がよくわかっていないのだけど、Fomapanの手触り感のあるざらっとした風合いが良かったのかもしれない。

良くわからないけど好き、みたいな独りよがり感満載のあの感じ。そんな意味では2018年の暮れに1本だけお試しで使ったFomapanが、もっとも印象深かったフィルムと言ってもいいのかもしれない。

filmmer.hatenablog.com

 

Fomapan R100

こちらも2018年に1本だけ買ったFomapan R100

Fomapan R100Adox Scalaと同じモノクロリバーサルフィルム。現像所の少なさも相まって絶滅危惧種とも呼ぶべきフィルムが現像から上がってきた。繊細という表現がしっくりくるAdoxScalaに対して、Fomapan100インパクトが大きすぎるのかFomapan R100は若干荒削りな印象。

年末のひんやりとした曇り空の下、そんなFomapan R100Bessaに詰めて元町から山手までぶらぶらしてきた。

N1592018

 Bessa R3A/Summicron-M 50mm/Fomapan R100

どんよりと低い冬の空。東欧産のフィルムで撮ると元町の街路樹や建物もどことなく寂れた東欧っぽく仕上がる気がしないでもない。 黒の表現力はScalaよりもFomapanかもしれない。

 

N1602018

 Bessa R3A/Summicron-M 50mm/Fomapan R100 

山手のベーリックホールはJR石川町から歩いてもそんなに遠くない。ここだけを目標に歩くと仕事の合間とか昼休みを潰してでも歩けてしまう距離。濃密なモノクローム

 

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  Bessa R3A/Summicron-M 50mm/Fomapan R100

ベーリックホールの窓越し。Adox Scalaと比べると柔らかく暖かい描写になるような気がする。今にも雨が降り出しそうな重苦しい曇天の日。Summicron-M 50mmのボケも好み。

 

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  Bessa R3A/Summicron-M 50mm/Fomapan R100 

この洋館に訪れる人が必ず撮影するであろうタイプライター。曇天の暗い室内でISO 100はちょっと辛った。手持ちで頑張ったけどやっぱり微妙にブレちゃった。

 

N1612018

  Bessa R3A/Summicron-M 50mm/Fomapan R100

ここは山手駅の近くだったと思う。銭湯の煙突とひっ絡まった電線。

元町・中華街境界線のカオスな街並みを抜けハイソな雰囲気の元町を通りすぎ、坂を登った先にあるセレブ住宅街を横目に坂を下ると途端に世界が下町風になる。高々数キロの範囲でジェットコースターのように移り変わる世界。

フィルムとの出会い頭って大切

色んなフィルムを試してみた2018年。フィルムとの出会い頭の大切さを痛感している。

初めて使うフィルムを装填したら丁寧に、その場の思い付きに流されずきちんと被写体を選んで向き合うことって当たり前だけど大切なことだと思う。

何にも考えずに思いつくままにシャッターを切ることは楽しいけれど、そんな撮り方を続けているとフィルムの特徴だとか使い所がどうしても掴みきれない。2017年はEktarProH400の個性が捉え切れずにいてとても苦労した。2018年に入ってEktarとはどうにか仲良しになれたけど、ProH400は多分もう仲良くなれない。

N1632018

  Bessa R3A/Summicron-M 50mm/Fomapan R100

フィルムに興味がある人は

エクタクロームが復活したりチェキが売れ続けていたりと局地的にフィルムも奮闘しているものの、大きな視点で見たら写真フィルムの状況は決して良いとは言えないと思う。特にモノクロリバーサルフィルムなんて、現像しようにも田村写真さんかSilversaltさんくらいしか対応してくれないので絶滅危惧種と言ってよい。

フィルム写真に興味のある方はぜひ2019年にフィルム写真にチャレンジして頂き、現像所とフィルムメイカーと、フィルム代に四苦八苦している私を救って頂きたいと思う次第である。 ことモノクロリバーサルの世界なんてデジタルでは味わえない感動があると思うので、ぜひともこのフィルム沼に落ちて頂きたいと思っている。

結局M6を買ってしまった話

2018年もあと少し

今年もよく働いた。人生の大切な時間を仕事に搾取されたとも言えるけど、去年の今頃と比べたら少しづつではあっても前進したように思う。

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Bessa R3A/Summaron 35mm F2.8/Kodak Portra 160 

シンプルでありたいと云う欲求

心地良いソファに深く座ってざっくりとした風合いの毛布を身体に巻きつけ、ほんのり温かいオイルヒーターに両脚を乗せてぼんやりと雑誌と空を交互に眺める。うたた寝をしているうちに陽が落ちてしまった事に気がついて部屋の白熱球を灯す。

飲み物をコーヒーから酒に変えて、ソファに戻り夕方のラジオ番組を聴きながらまた少しボンヤリする。このまったく生産性の無い休日の過ごし方を最近少しづつできるようになった。

月曜日から金曜日までひっきりなしに持ち込まれる問題と、うんざりするほど繰り返される対話と打ち合わせ。誰とも会話したくない気分になる休日は、シンプルな生活に想いを馳せることがある。

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Nikon D700/Nikkor 58mm F1.4/VSCOfilm Pack04 Agfa Scala 

 

最近、このコミュニティラジオ局がとても好きだ。音楽が多くておしゃべり少なめ。バラエティに走らず淡々と良い音楽を流すことが当たり前にできている局って中々無い気がする。

www.beachfm.co.jp

毎週日曜日の20時からJwaveに合わせてみるのもいい。野村さんの心地よい声と選曲が素晴らしい。

www.j-wave.co.jp

何もせずにボンヤリ過ごすこと。

文字に起こすのはとても簡単なことなのだけど、実際にボンヤリ過ごそうとするとこれが思いの外難しい。頭の中では常に時計がチクタク回っていて、タスクの優先順位があって、空いた時間があったら何かで埋めないと気が済まない。

僕らの脳は日々の目まぐるしい仕事生活の中で休息を取らずに働き続けるよう調教されすぎてしまったため、「ボンヤリする」という一見簡単な行為がとても難しいことになってしまっている。 

N0502014

Sigma DP1 Merrill

心地よいもの

心の安寧のある生活を送るためには、身の回りにあるものは心地よいものでなければならない。それは身体をゆったり預けられるソファであったり、肌触りのよい毛布であったりいつまでも触っていたくなるような食器であったり、耳触りのよい音であったり。 

人の受け取る情報の大部分は視覚を経由すると云われるけれど、人が感じる心地よさはおおよそ全て視覚ではなく触覚や聴覚、嗅覚と結びついているのではないかと考えている。

N1132018

Bessa R3A/Summicron-M 50mm/Adox Silvermax

ソファと云えば、随分前にIDEEで見たDimancheソファはとてもよかった。

座面がフラットかつ広くて、居眠りするにも本気寝するにも心地よかった。人をダメにするソファの最有力。資金力のある方はぜひ。下手な北欧ヴィンテージに手を出すより良いと思う。今では無印でも売ってるし。

www.idee-online.com

 

心地よいカメラ

今週の初め、散歩コース(偵察コース)の中古屋をぶらぶら眺めていたら程度の良いM6に突然出会ってしまった。気がついたらショーケースから出してもらい空シャッターを数回切らせてもらって、次の瞬間にはすっかりその心地よさに心奪われてしまったのである。痩せ我慢が崩壊した瞬間。

中古品は一点物だし、ここ数年で中古ライカがどんどん値上がりしていることも事実なので、状態が良くて自分と相性の良さそうな個体に巡り会えた時が買い時だと判断した。突然の出会い。押し入りサンタクロース。

それにしてもライカは触覚だとか聴覚だとかに訴えかける物作りが非常に上手い。上手いと云うより、意図的かつ偏執的に感性に訴える物作りをしているように思う。

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iPhone SE

デジタルカメラと違いフィルムカメラの本体は画質に直接な影響を与えることはない。設定通りの速度でシャッターが切れてくれて頑丈ならばそれで良いと考えていたし、ファインダーが素晴らしく、頑丈なBessaは大好きなレンジファインダーカメラである。

それこそ「俺はBessaと心中するから」くらいの気持ちでいたのだけど、一度ライカの心地良さに気付いてしまうと、どんなに理屈をこねたところでこの心地良さに抗うのは難しかったし、抗ったところで沼に落ちるまでの時間がちょっと伸びるだけでしかない。遅かれ早かれ買うことになるのである。フィルムカメラの先輩方もきっと同じ道を歩んだに違いない。

 

虚しく終わる「これが最後」と云う誓い

機材を買う度に「これが最後だから」と自らに嘯いている気がする。

M6を買ったら今まで気にもしていなかった28mmが気になってきた。広角は苦手なのだけどM6には28mmのフレームもあるし、作例をちょこちょこ観ているうちにエルマリート28mmとズマロン28mmが気になってきた。来年のどこかの時期でまた素敵な巡り会いがあったらいいなと思っている。

と云うか、来年まで辛抱できるのか既に疑問なのだけど。

www.fujiya-blog.com

news.mapcamera.com

 

 

 

Fomapan 400を使ってみた

秋をすっ飛ばして冬が来た

12月だと云うのに気温が20℃近いって何事!…なんて思っていたら、あれよあれよと云う間に最高気温が10℃を下回って一気に冬に突入した。天高い秋の空とか紅葉とか、秋晴れの下の海岸沿いドライブなんて云うものと全く程遠い無慈悲な季節の移り変わり。ここ数年春とか秋が全然ない気がする。

入管法の緩和とか外国人労働者規制緩和と歩調を合わせるように、日本から情緒といったものが消えていくのではないかと心配になる。そんな急激な季節のうつろい。

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Bessa R3A/Summicron-M 50mm F2/Fomapan 400

ここ数年、冬のお気に入りはオイルヒーター。

電気代が怖くて最低出力運転にしているので、勿論部屋中がポカポカになるわけではないけど、身体に毛布を巻いてソファに仰け反りこのヒーターに脚を乗せているととてもいい気分。石油ストーブの刺すような強烈な暖かさではなく、柔らかい不思議な暖かさがとても心地良い。炬燵のような中毒性がある。頭寒足熱。

 

Fomapan 400

Tri-XかTmaxの2択状態が長らく続いていたISO 400のモノクロフィルムのローテーションにFomapan 400を加えてみた。前二者に比べるとコントラストが強くて粒状性が悪い印象。 

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Bessa R3A/Summicron-M 50mm F2/Fomapan 400 

銀座の裏道。トタンの外壁もバリッと写るこの感じ。

 

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Bessa R3A/Summicron-M 50mm F2/Fomapan 400

何気なく50mmを着けて浜松町の夜をぶらぶらしていた時の一枚。Fomapan 400は夜のストリートスナップなんかにいいのかもしれない。夜の深い時間まで飲める都内住まいのおっさんたちはある意味幸せそうだ。

 

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Bessa R3A/Summicron-M 50mm F2/Fomapan 400

酔っ払って東京タワーのふもとにいたらしい。全然記憶がない。きっとヨレヨレしながらシャッターを切ったはずなのにちゃんと写っている。 

 

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 Bessa R3A/Summicron-M 50mm F2/Fomapan 400

小津安二郎邸に向かう道。おそらくこの界隈は彼が秋刀魚の味を撮っていた頃から変わらないんだろうなぁ、と勝手に想像している。

Fomapanって情緒的なフィルムだよねと思い始めた

このフィルムはバリっと晴天の西海岸!…みたいな雰囲気よりも曇天で湿度の高そうなシーンが似合う気がする。厚い雲がドスンと空を埋め尽くしているような風景だったり、鬱屈とした退廃的な都市の風景だったり。

精細さと云う点ではAdox社のSilvermaxだとかSCALAの方が一枚上手な一方、Fomapanはウェットで情緒ある仕上がりになるように思う。東欧界隈に出張する機会があったら、是非このフィルムを持って旅に出たい。

2019年分のフィルムを大人買いした。

ボーナスの季節ですね

大手企業の一部の業界のみっぽいけど、この世間の寒風と荒れた世相の中でまだボーナス上がるかって感じ。日本経済が凄い訳じゃなくて、日本経済のピラミッドの上層にいる一部の会社組織が下層の会社と労働者を搾取して到達したゴールって感じ。あくまで外から眺めた印象だけど。

年棒で食ってる身からするとこの季節は内心穏やかではない。年末年始で出費は増えるし羽目外しまくれないし、何より「俺、金持ってる」的な安心感がないと思い切った買い物なんて中々できないから。

くそう。

www.fnn.jp

今年使ったフィルムを振り返る

ちょっと早いけど今年使ったフィルムを振り返ってみると、カラーネガは圧倒的にKodak Portra 400が多かった。ISO400で使いやすいカラーネガとなるとこれはもう替えがない。Pro400Hは何故か肌に合わなかった。我慢してあと数本でも使ってみれば好きになるのかもしれないけど。フィルムとの出会い頭ってやっぱり大切。

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Bessa R3A/Summaron 35mm F2.8/Kodak Portra 400  

ISO 100ならフジ記録用。出てくる画は好きでも嫌いでもないのだが、圧倒的なコスパはやはり替えがない。Ektarは高い割にキャラクターが立っていない印象。

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Bessa R3A/Summaron 35mm F2.8/フジ記録用100 

一方でモノクロはこれと云う一本がない。

ACROSをよく使ったように記憶していたけど、あれは生産終了の一報を聞いて急いで買いだめしていただけで、実際使ったフィルムはTmaxとTri-XとACROSが大体同じくらい。むしろ夏以降はAdoxのScalaとSilvermaxを良く使った。

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Bessa R3A/Summaron 35mm F2.8/Adox Silvermax

AdoxのScalaとSilvermaxは本当に良く写るフィルムで。デジタルに負けない繊細さとフィルムの情緒が同居している感じでとてもいい。

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Bessa R3A/Summaron 35mm F2.8/Adox Silvermax 

フィルムを一年分買う

一年に使うフィルムの本数はそんな大きく変わることがないと思うので、2019年分のフィルムをB&Hで大人買いすることにした。チマチマとフィルムを買って使う今までのスタイルだとB&Hで買うメリットが全然ないので中々発注できずにいたのだけど思い切って1年分をまとめ買い。

各フィルムの価格差や発注方法はアレモコレモさん、フィルムカメラのワタナベさんのエントリを参照頂きたいが、この記事を書いている時点でのレート(1USD=113JPY)で計算すると、ことPortra 400に至ってはB&Hの価格が¥4,231。大手量販店での価格が¥7,400付近なのでその差はなんと¥3,000以上。凄い。

カートにPortra 400を入れてレジに進んだところで魔が差し、数量をポチポチと上げTri-XとTmaxもカートに放り込み。気がついたら1.5年分くらい買っていた。チェックアウトしたのちにトラッキングしてみたら5日後には自宅に届く予定らしい。DHLも仕事が早い。

sutougen.blog.jp

aremo-koremo.hatenablog.com

Kodakは激安でIlfordは普通に安いがAdoxは何故か日本が安い

B&HはとりわけKodak製品がぶっちぎりに安い。

アメリカからの発送なので送料は勿論そこそこかかるが、Portra 400の5本パック1個から3個までが12.16USD、4〜5個で15.81USD、6〜8個で24.43USD、9〜10個28.09USDとなっているので、ぶっちゃけ今のレートならPortra 400を1パック買った時点で大手量販店で買うよりも安い。日本のアマゾンの価格とほぼ同額ではあるが、送料を考えると数を買うほどにどんどん安くなる。

驚いたのはAdox製品の割高さ。Silvermaxが8.99USD、Scalaが9.49USDなので1ドル80円にでもならない限り国内で買う方が全然安い。単価からして違う。なんでだろう。

輸出入検査はちょっと心配だったりする

輸出入検査の現場なんて縁遠い世界の話なので、X線検査大丈夫なのか気になって仕方ない。かわうそ商店さんのblogを読む限りISO1600以下なら大丈夫らしい。まぁ、そもそも国内にフィルムを輸入しているメーカーさんだって検査はしているはずなので、おそらく問題ないとは思うけど。

efke.exblog.jp

大人買いしたフィルム1年分が万一ダメになっていたら、大人しく頭を丸めて35mmフィルムカメラはしばらくお休みということにして、マミヤ7を買ってあっちの世界に行こうと思う。