analogue life

シンプルな暮らしとフィルム写真のこと

富士フィルムがモノクロフィルムの再生産を検討しているらしい

こないだモノクロフィルムの生産やーめた!…って言ったばっかりじゃんというツッコミを入れたくなる展開。

先日のACROS生産終了のアナウンスには本当に驚かされたが、富士フィルムは落胆したフィルムユーザーの声にきちんと耳を傾けていてくれた。残念ながらACROSの生産終了が撤回される訳ではなく、全くの新規でモノクロフィルムを作るとのこと。やるじゃん富士フィルム

過去の遺産の焼き直しではなく、全くの新規でフィルムを設計するというところが素晴らしい。ACROSを超えるフィルムが発表されることを楽しみに、富士フィルムからの公式アナウンスを待つことにしよう。

 

N0982018

Bessa R3A/Summaron 35mm F2.8/Fuji ACROS

それにしても今年の東京は暑い。

毎年夏になると日本の湿度と暑さに悪態を付いているが、今年の暑さには悪態をつく体力すら奪われている。東京の週間予報を見ると気が滅入るので、ここ数日は埼玉県の週間予報を見るようにしている。都内も地獄だけどさらに(と言っても2,3℃の差だけど)深い灼熱地獄があると思うと少しだけ気が楽になる…ように思う。

N0972018

Bessa R3A/Summaron 35mm F2.8/Fuji ACROS

こうも毎日暑いと、社会の仕組みを見直す時期にきているんじゃないかと思う。

これから日本はどんどん暑くなるんだし、ただでさえ風水害が多い国なんだから毎朝仕事場やら学校なる場所へ通うという、全くもって馬鹿馬鹿しい不毛な行為をやめればいいのにな、と思う。そうすれば無駄な電気を作って通勤電車を動かす必要もないし、より持続可能な社会になると思うのだけど。

 

短い梅雨の思い出

夏が始まってしまった。

今年の梅雨はあまり暑くもなく湿気も少なく、夜になれば風も気持ちよくて随分と快適だなぁ…なんて思っていたら、あっさり梅雨が終わって地獄のような夏が訪れてしまった。平均よりも20日程早い梅雨明けということは、地獄のような暑い日々が20日分多くなる訳で、まだ7月のはじめなのに既にげんなりしている。

そんな短かった梅雨の合間に、Portra400を詰めてぶらぶら散歩した際の写真。

N0892018

Bessa R3A/Summaron 35mm F2.8/Kodak Portra400

身体に巻きつくような湿気はたまらなく鬱陶しいが、フィルムが捉える湿気感はとても良い。色んな色の紫陽花が一気に咲くと思いの外華やか。

 

N0912018

Bessa R3A/Summaron 35mm F2.8/Kodak Portra400

 どんよりした曇り空の横浜をぶらぶら。大さん橋にはサファイアプリンセスが停泊していたんだけど、あまりの船体の大きさにスケール感覚がおかしくなりそう。

 

N0902018

Bessa R3A/Summaron 35mm F2.8/Kodak Portra400

 山下公園にむかってビール片手にぶらぶらの続き。色味を弄らずにSilverfastでスキャンした結果がこれ。この渋い湿度感、好きだなぁ。

 

N0942018

Bessa R3A/Summaron 35mm F2.8/Kodak Portra400

東京へ帰還。有楽町のガード下は湿度と煙が雑踏の中に充満している感じで、横浜に比べるとどことなく空気に重量感がある。東京の湿度はドスンと効いてくる。そんな感じ。

 

N0962018

Bessa R3A/Summaron 35mm F2.8/Kodak Portra400

イカとか云う会社の路面店が銀座にあることは知っていたけれど、遂にその場所に到着してしまった。どうも営業時間は19時までらしく、うっかり入店してMPくださいとかやらずに済んだ。危ないところであった。

 

 

Adox SCALAが現像から上がってきた

現像から上がってきたAdox SCALAのフィルムを光にかざして思わず息を飲んだ。

撮った本人も忘れていたような一枚がまるで浮き上がるかのように緻密で、モノクロームであるにも関わらず、色がきちんと乗っているような印象すら受ける。

無いはずの色が見える…なんて表現すると聞こえない音を聞き分ける末期のオーディオマニアのようだが、様々な色をモノクロームの階調にきちんと落とし込んで一枚のスライドができている、そんな印象。

 

N0832018

SIGMA DP2s

 

普段リバーサルなんて使わないもんだから、今回現像から上がってきたSCALAを確認するためだけにこんなアプリを買ってしまった。これ作った人ニッチ狙いすぎだなぁ、とか思いつつ使ってみたらとってもお手軽で便利だった。

Light Box - Illuminator Viewer

Light Box - Illuminator Viewer

  • Systemiko Inc.
  • Utilities
  • $0.99

 

SCALAの現像はSilversalt.jpでも受け付けているとのことだったが、今回は田村写真さんにお願いした。麻布の事務所にフィルムを持って突然お邪魔した格好だったが、雑談含め快く対応してくれた田村さんはとても素敵な方だった。郵送でも対応してくれるとのことだったのでSCALA現像はハードルが一つ下がった感じ。

www.tamurasyasin.com

 

スキャンはPlustek 8200iとSilverfastの組み合わせ。スキャン時のコントラスト設定で印象はかなり変わるが、ライトボックスを通して眺めたスライドフィルムに概ね近い感じでスキャンできた気がする。Silverfastできちんとスキャンできるのか若干の不安が合ったが、この心配も杞憂であった。 

N0772018

Bessa R3A/Summaron 35mm 2.8/Adox SCALA 160

これは確か長谷寺だったと思う。陽射しの強い暑い日だった。リバーサルっぽいバリッとコントラストが効いたメリハリある感じ。 

 

N0762018

Bessa R3A/Summaron 35mm 2.8/Adox SCALA 160

最近の観光地は外国人が増えすぎてしまって正直困惑もしているし、外国人だらけの東京の景色に食傷気味になっている。これはいろんな言語で願い事が書かれた絵馬に混じって、目に飛び込んできた戦慄走る一枚。左から2番目の胴体が微妙に切れてる。なんだか怖い。

 

N0752018

Bessa R3A/Summaron 35mm 2.8/Adox SCALA 160

品川駅の金属屋根の質感がいい感じ。奥に向かって連なるディスプレイが白に飛ばないように撮ったので暗所が黒に潰れてるかと思いきや結構粘る。

 

N0782018

Bessa R3A/Summaron 35mm 2.8/Adox SCALA 160

横浜駅西口の夜といえば鈴一。鈴一といえば横浜駅西口。仕事帰りの時間は次から次へと サラリーマンやら年金生活と思しき爺様、怪しげな兄さん達が入れ替わり立ち替わり。天ぷら蕎麦を頼んだら30秒ほどで出てくる。首都圏で一番早いんじゃないかと思わせる驚きのオペレーション。

 

N0792018

Bessa R3A/Summaron 35mm 2.8/Adox SCALA 160

同じ店をフジAcrosでも撮っている。あっちはズミクロン50mmで撮ってるので純粋な比較はできないけど、繊細さで比べたらACROS が上手かな。SCALAは濃厚。

 

N0842018

  Bessa R3A/Summaron 35mm 2.8/Adox SCALA 160

これは先日成田空港廃墟駅(東成田駅)に向かう際に撮った一枚。画角は違うけどDP1Mでも撮っているので比べてみると面白い。

 

N0562018

SIGMA DP1 Merrill

 

DP1MのモノクロームやフジACROSと比べてみると、SCALAは特段シャープでも緻密でもないんだけど他所様での評判通り黒の表現力が素晴らしい。ズマロン35mmとの組み合わせが合っていたのか、ACROSやDP1Mがあっさり緻密なモノクローム写真なのに対してSCALAは湿度たっぷりで粘土高めな力強い描写をする気がする。そう、このフィルムの魅力は湿気感なのかもしれない。

他のフィルムに比べて現像コストは安くないけど、フィルム本体がそんなに高くないのでもう少し根気よく使い続けてみようと思う。