analogue life

シンプルな暮らし

長い休みなんだしモノクロフィルムを自家現像するのも楽しいかもよって話

今年のゴールデンウィークは人によっては10連休になるらしい。

こんなに長く休暇があると持て余してしまう人だっていると思うので、これを機にモノクロフィルムの自家現像にトライしてみるのはいかがだろう。旅の道中の写真を連休の最後に現像してみてもいいし近所をぶらぶら歩いて撮った写真を自宅で現像するのも楽しいと思う。

自家現像って大変じゃない?って最初は思うけど一歩踏み出してみればとても簡単で、自分の手を使って写真を仕上げている充実感はすごいのでぜひやってみてほしい。機械に撮らされた写真じゃなくて自分で撮って自分で仕上げた写真ってだけで胸を張れるから。

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はじめに

モノクロフィルムの現像は先生から生徒へ先輩から後輩へと「お作法」が受け継がれていくものだと思う。それこそ人の数ほど正解があるので、ここに書いたやり方はとある個人のやり方くらいに捉えて頂けると良いかと思います。

現像液の種類や温度管理、攪拌の強さや回数で仕上がりは変わってきますが、写真を眺める第三者からしたらよっぽど極端な仕上がりでない限り違いなんてわからないので、自身が納得するプロセスが見つかったらそれが正解。つまりノークレームノーリターンで読んでください。私のやり方よりもっとよい方法があるかと思いますけどこのblogにある写真と同じクオリティのものはできるのでご安心ください。

ただし定着不足と洗浄不足は明らかにダメなので注意してくださいね。

我が家の自家現像セット

自家現像と聞くと何やら道具だけで大変そうだけど、自分の使ってる道具はこれくらい。

あらかじめ調整した定着液と停止液のボトルが2つと計量用のメスシリンダー、計量カップひとつで現像している。暗室も必要ないです。

最初は現像液用、定着液用、停止液用で計量カップ3つ用意したけど、これはひとつあれば充分使いまわせるし、現像中のタンクを入れて液温管理するための水浴も関東地方ならばあまり必要ない。この荷物量なら家庭の平和を脅かすこともないと思う。

自家現像に必要なもの(お買い物リスト)

フィルム現像に必要なアイテムは以下の通り。

必要アイテム

用途

ダークバッグ

フィルムを遮光下でタンクに詰める時に使うもの

フィルムピッカー

撮り終わったフィルムのベロ出しに使うもの

現像タンク

遮光下でフィルムと現像液、停止液、定着液を反応させるタンク

現像液

フィルムを現像する薬品。希釈して使う。

停止液

現像をストップさせる薬品。希釈して使う。

定着液

フィルムに残る感光してない銀を除去する。希釈して使う。

ドライウェル

乾燥したフィルムに水滴痕を残さないために使うもの。

温度計

液温を測るために使う。百均で充分。

メスシリンダー

現像液、停止液、定着液を計り取るために使うもの。

計量カップ

一定温度の水を計り取るために使う。百均で充分。

フィルム乾燥用クリップ

水栓が終わったフィルムを吊るして乾燥させるためのクリップ。

保存ボトル(定着・停止液)

定着液・停止液を保存するボトル。百均で充分。

書き出してみたら結構なアイテム数になってしまった。

ひとつずつ買ってくのがめんどくさい人はSilversaltさんが売っているJOBOスターターキットを買ってしまうのがいいと思う。JOBOは長く使える高品質な現像タンクなので初期投資としては高いけどお勧め。自分もこのタンクを使っているけど不満は全くない。

まずはJOBO MセットRodinal(現像液)、Adostop(停止液)、Adofix(定着液)をSilversaltさんで買い、残るダークバッグ、フィルムピッカー、ドライウェルをヨドバシかアマゾンで、計量カップダイソーで買えばオッケー。予算的には¥32,00-¥35,000程度で全部揃う。

ダークバッグ(チェンジバッグ)はLサイズを買うことをお勧めする。小さいサイズだと特に夏場はバッグの中の熱が逃げず、手汗でフィルムを汚してしまうので小さいサイズは避けた方が良い。停止液、定着液は何を使っても変わらないけど現像液は現像結果をかなり左右するので、なれてきたら色んなものを試してみるといいと思う。

 

ざっくりとした手順の説明

下の図の流れで現像を進めます。指定の時間から30-60秒ズレようが温度が1-2℃変わろうががモノクロ現像は出来上がるので最初はあまり緊張せずに楽しんでみてください。各工程のポイントを書き出してみます。

フィルムベロ出し

これは動画を見てもらった方が早いかも。フィルムピッカーを挿入しフィルム側のスライダーを最初に押し込みます。フィルムのスプールを押し込んだ方向に回していくと小さくカチっと音がするので、そこで手をとめ右側のスライダーを押し込みます。全部押し込んで引き抜くとフィルムの端が出てきます。

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リールへの巻きつけ

取り出したフィルムのベロをハサミで切ったらダークバッグにタンク、リール、フィルム、ハサミを入れます。ここからは手探りでフィルムをリールに巻きつけます。巻きつけが終わったらハサミでフィルムの終点をカットし、タンクに詰めてください。

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現像停止定着液の調整

3種類の溶液を準備します。20℃の水を用意しておき指定の比率で薄めます。

どれだけ希釈すればいいのかを示す値に1+50だとか1+19のような表記があります。最初は面食らいますがタンクの容量(mL)を1+Xで割った分量を測りとります。

容量が482mLのJOBOタンクとRodinal(1+50希釈)で現像をする場合、482/51=9.45mLのRodinalを計りとり水を加えて総量482mLにすればOK。

計量カップ1つでやりくりする場合は、上記の計算で先に停止液と定着液を作ってしまい保存ボトルに詰めておきましょう。停止液は数十回繰り返し使えますし定着液もフィルム4本程度まで使えます。

先に答えを書いておくと482mLのJOBOタンクを使う場合大雑把にAdo Stopは25mL、Adofixは50mL放り込んで水を足して総量482mLにすれば大丈夫。現像液はフィルムと現像の方法で希釈が変わるので、現像をする前に確認することをお勧めします。

現像・停止・定着

ここからがフィルムを処理する工程。現像、停止、定着の順に作業を進めます。

どの工程もやることはとても単純で、あらかじめ作っておいた作業溶液をタンクにぶち込んで定期的にシャカシャカして一定時間寝かせるだけ。それだけ。

現像工程は現像液により希釈率や現像時間が異なるので、SilversaltMassive dev chartのデータを参考にしてください。

現像液をタンクにぶち込んだら30秒程タンクをひっくり返して元に戻す攪拌を行います(攪拌の方法については後述)。この初回攪拌が終わったら指定されたタイミングで攪拌(ひっくり返して戻すだけ)を行います。自分の場合はタンクに現像液をぶち込んだらタイマーを押し30秒攪拌したら、あとは1分30秒で1回、2分30秒で1回…のように攪拌します。指定の時間が経過したらトイレに流しちゃってください。現像結果はこの工程でほぼ決まるので色々試して変化を楽しんでください。

次は停止。これは単純かつ簡単。温度の影響もあまり受けないので雑に停止液をタンクにぶち込んだら30秒程荒っぽく攪拌してボトルに戻しましょう。AdoStopは長く使える上に停止能が落ちると色が変わるので便利です。

停止液をボトルに戻したら定着液をタンクにぶち込みます。

この時定着液の温度が20℃近辺であることを確認してください。特に冬場の寒い部屋に放置していた定着液は10℃以下になっていたりして正しく働きません。

正しい温度の定着液をタンクに入れたら30秒連続攪拌し、その後30秒ごとに2,3回攪拌します。定着時間については人それぞれっぽいのですが、フィルム2本目までは古典粒子フィルムで3分、T粒子で5分にしています。3,4本目はそれぞれ2分延長しそれ以上は使い回さずに廃液にします(後述)。

洗浄・水滴防止

定着液の排出を終えたらタンクに残っている廃液を洗浄します。

定着が終わればタンクを開けても大丈夫ですので写真のようにシンクに置いて水を流しっぱなしにする方法もありますが、私は前の工程と同じように水道水を満たして荒っぽく感情の赴くままに攪拌してトイレに流します。おおむね10回攪拌してトイレに流す作業を5-10回繰り返します。ここでもT粒子の方がしつこいので水洗は長くやります。廃液に色がつかなくなってきたら終わりと見ておっけーです。

ここで一度蓋を開けてフィルムを光にかざしてみてください。ベースのグレーがきれいに抜けていれば成功。ここが青味がかっていたり紫色だったりしたら定着不良か水洗不足なので、定着液を新しくしてもう一度定着させるか定着液or水道水の温度を確認してみてください。10℃以下の水だと水洗が不十分なので温めるか湯沸かし器を使いましょう。中には30℃くらいのぬるま湯使う猛者もいるようですよ。

フィルムベースがすかっと抜けていたら洗浄工程はおしまい。

再びタンクに水道水を満たしドライウェルを6mLくらいちょろっと入れ優しく攪拌してください。2分ほど寝かせたら水滴防止もおしまいです。

乾燥

おめでとうございます!もうほぼゴールです!

タンクを開けフィルムを吊り下げて乾燥させます。家族が出たあとの浴室ならば湯気が空気中のチリ落としているので理想的です。一晩経ったら収穫して終了です。

昼に干す時は浴室にシャワーでお湯を撒いておくとよいかもしれません。一晩待たずとも3時間くらい干せば経験上OKです。干したてのフィルムは1時間くらいすると捻れたり捩れたりするので慌てるかもしれませんが、そんなもんだと思いましょう。ほっとけばそのうち真っ直ぐになりますから。下端にクリップをきちんとつけることをお忘れなく。

プリントまたはスキャン

出来上がったネガからプリントを作るかスキャンに進みます。

プリントはこの記事とは別にどこかできちんと書きたいと思うのでスキャナーについては以下の記事を参考にしてみてください。

filmmer.hatenablog.com

filmmer.hatenablog.com

PlustekにしてもEpsonにしてもそこそこの出費になってしまうので、もしかしたらLOMOの簡易スキャナが面白いかもしれません。

shop.lomography.com

廃液の処理について

いまのところ廃液については法的な規制がなく問題になっていないのでシンクやトイレに全部流しちゃう人もいるらしいけど、溶液中に銀を含む定着廃液だけは気を使った方がいいと考えています。

私はきれいに洗った空のワインボトルに定着廃液を入れ、ハイドロサルファイトを振りかけて銀を沈殿させ上澄みだけをトイレに流してる。結構溜まってきたのでそのうちこいつでレリーズボタンとか作れたらいいなぁとか。

現像結果のコントロールについて

アナログ写真の結果に一番影響を与えるのが攪拌の方法と言っていいかもしれません。Silversaltさんの撹拌動画とコダックのマニュアルはだいぶ違うし、映画「ヴィヴィアンマイヤーを探して」のトレイラーに出てくる攪拌のシーンは凄い振り方をしている。これが本当に現像してるシーンかどうかは別にして、一度試してみたら必要以上にコントラストが強くついて驚いた。攪拌の強さと回数はコントラストを強くするので、ほどほどに抑えた方がいいと思う。

www.youtube.com

コントラストをバリっとつけたい時は時間ごとの攪拌を強くしつこくやり、豊かなグレートーンを作りたい、ディテールを残したいときは少なく優しくやれば良いです。あとは温度と濃度なんだけど気が向いたら少しづつ書き足します。

それでは良いGWをお過ごしください。