analogue life

シンプルな暮らしとフィルム写真のこと

フィルムやめました宣言に寄せて

ここ最近フィルムの値上がりが続いたことで諸方面から悲鳴と落胆が聞こえてくるんだけど、これらの悲鳴に混じって「もうフィルムやめちゃおうかな」という呟きだったり「これを機にフィルムやめました」なんて呟きを目にするようになった。

税金という公的みかじめ料ばかりぐんぐん上がって収入が全然上がらない日本人にとって、いつの間にか1万円近くするPortra400の5本パックなんておいそれと買えるものじゃ無くなってしまったし、安いフィルムも無くなってしまった。

フィルム卒業を宣言するツイートだとかBlogの記事を「わかるよ、すごくわかるよその気持ち」…と思いながら眺めつつ「でも、フィルムで撮る意味ってそこじゃないんだよね」と思う気持ちがあったりする。

N0262022

LEICA M6/Summaron-M 35mm F2.8/ORWO UN54

フィルムで撮る意味って人それぞれだと思うんだけど、「SNSにアップするフィルムっぽいアウトプット」だけを目的にしてフィルムカメラを使うんだとしたら遅かれ早かれ行き詰まるんじゃないかな。

今ってフィルムっぽい写真からCGのようなHDR写真までデジタルでどうにでもなる時代なので、インプットがフィルムでもデジタルでもアウトプットに大きな差はない。フィルム写真が醸す雰囲気をSNSに流すのが目的なら、わざわざフィルムで撮ったものをスキャンしてデジタル化するなんて面倒臭いことせずに、VSCOとかFP6のフィルタにお任せした方がよっぽどいいと思う。

途中からデジタル化するなんて結局ネガをデジカメを撮ってるようなものだし、フィルムのおいしさの半分を捨ててるようなものだもん。

「じゃあお前が考えるフィルムで撮る意味」を教えてくれと言われるかもしれないけど、その答えは現像とプリントにあるんだと思う。

フィルム写真の面白さはSNSに流すアウトプットだけじゃなくて、撮った後にネガを作り暗室でプリント作る工程が楽しいんだ。頭と手で作る何かを作る行為こそまさに創作の原点なんだと思うんだけど、SNSのいいねとRT至上主義になってる人には伝わらないんだろうなぁ。

これ以上は答えるのも面倒臭いので「現像してプリントするプロセスが面倒臭いから面白いんだよ」とはぐらかすことにしているけど、何かの折にフィルムやめましたという呟きを目にするとまた「フィルムの面白さってそこじゃないんだよなぁ・・・」と思うんだろう。

N0252022

LEICA M6/Summaron-M 35mm F2.8/ORWO UN54

N0272022

LEICA M6/Super Angulon 21mm F3.4/ORWO UN54