analogue life

シンプルな暮らしとフィルム写真のこと

映画用フィルムORWO UN54をプリントしてみた

久しぶりにプリントができた。

家庭の事情と住宅の事情により真夜中にならないと完全な暗室環境ができないため、自宅暗室が稼働するのは必然的に23時以降となる。バライタの洗浄とお片付けを含めると撤収が午前2時か3時、下手すると徹夜になることもあるため、午前中の仕事と家庭生活でヘロヘロになった状態から気合を入れ直してプリントに取り掛かるのである。延々と夜中まで延長戦が続いた昔のプロ野球選手の気分。しんどいけど楽しい。

f:id:filmmer:20220226094512j:image

今回は2019年頃に撮っていながらプリントしてこなかった海辺の写真と共に先日から使い始めたORWO UN54の写真をプリントした。

映画用フィルムのUN54は連続した美しいグレートーンと高めのコントラストのフィルムで現像もしやすくカーリングも(ほぼ)ないという素晴らしいフィルムだ。設計自体は古いはずだけど現代的な写りをしてくれる。トーンやコントラストの出方はKODAK 5222(DoubleX)と似たような傾向があるのかもしれない。

f:id:filmmer:20220226094538j:image

f:id:filmmer:20220226094550j:image

f:id:filmmer:20220226094639j:image

f:id:filmmer:20220226094604j:image

生乾きのバライタの全体とディテールをiPhoneで撮ってみた。

ボートの写真はもう一段コントラストを上げても良かったかもしれないが白いボートの船体と砂浜のディテールがとても良く表現されていると思う。漁港の写真はコントラスト、ディテールともに素晴らしい。陽光が揺れる波打ち際の表現力もとても良い。

プリントの技術はもっと改善が必要かもしれないけどUN54とSummaron 35mmの組み合わせはちょっと只事じゃない。

ORWO UN54は取り扱い店がほぼ無い上に長巻ということで敬遠されがちだと思う。自分もはじめはフィルム代の節約目的で買ったフィルムだけど、数ロール使っているうちにこの独特の良さに惚れてしまい、いつの間にか常用フィルムになりそう。

黒の締まり方がとても良く適度に粒子感が残っていて、現像は素直だしカーリングは少ないし焼きやすいしUN54にはモノクロフィルムの美味しいところが詰まっていると思う。ぜひもっと多くの人に使って欲しい。

参考記事

いつもお世話になっている写真仲間のりょーかいさんの良質な記事。400ftの5222(DoubleX)を小分けにして使っているようです。巻き直し方や作例がとても良い。必見。

filmlovers.livedoor.blog

金子典子さんの暗室ワークが垣間見えます。プリンターの目線で感じるTri-Xと5222(DoubleX)の違いを説明していてとても興味深い回です。

www.youtube.com