ライカ戻り?先祖帰り?もしかしてただの老化現象?それともまさかの老害化?
やっぱりニコンのデジタル一眼は便利だなーとかハッセルで追い込んだ時の精細さったらなんて素晴らしいんだ…なんて言いつつ日頃から写真を撮っているのに、ふと気を抜くとライカ一台だけ持ち出してることってありませんか?
特定の機材で撮りたい何かがある時は別として、何にも考えずにふらーっと家を出て、ビールでも飲みながら写真撮って海辺を歩こうかなと身支度をしているとき、自分の場合はほぼライカ一択になることが多いんですね。最近特に。
LEICA M6/Super-Angulon 21mm F3.4/ACROS II
このライカ偏愛は定期的にやってくるらしく、一度ライカで撮り始めると暫くの間は他の機材がどうでもよくなって、思考停止状態で毎日ライカをかばんに詰めて首からかけて写真を撮るゾンビみたいになっちゃうの。ライカ持ったゾンビ、かろうじて日本語は喋れる。みたいな感じ。
レンズも2本か3本あれば満足で、やもすると同じレンズを付けたままで数ヶ月…なんてこともあったりする。ここ最近はSuper-Augulon 21mmがつけっぱなしだし。
LEICA M6/Super-Angulon 21mm F3.4/ACROS II
ぶらぶら歩くのに何台もライカを持ち歩く必要なんてないと思っている。私の場合はフィルムライカ一台で良い。
デジタルライカを買う予算がないってのもあるけど、家電製品ではない純粋な機械式カメラをぶら下げて歩いている方が気が楽なので。バッテリーの残量だとかセンサーのゴミとか気にしなくて済むのはとても気が楽。
込み入った話だとか仕組みは、昼の仕事だけでお腹いっぱい。シンプルさは美徳。
LEICA M6/Super-Angulon 21mm F3.4/ACROS II
先日夕暮れの海辺をぶらぶら散歩していたら、すれ違ったおじいさんに「君はライカを使っているのか」と呼び止められた。
そのおじいさんは長いこと写真を撮っているようで、写真への思いやカメラへの思いをひとしきり喋った後、「昔はこれ(ライカM)がカメラの形だった。時代が一回りしてこの形に戻っていくのかもね。ライカへ戻るの。」とポツリと呟いた。
あぁ、ライカ帰りだ。この表現はなるほどしっくりくる。この現象をとりあえず先祖帰りならぬ「ライカ帰り」と呼ぶことにしよう。
そのおじいさんと別れたあと、しばらく海辺をぶらぶら歩きながら、なぜ人はライカ帰りをするのか、ぼんやりと考察をしてみた。
ライカ帰りの理由1: ちょうどいい大きさ
気がつくとライカを首にかけてる理由の一つはライカの小ささじゃないかと思う。
国産デジタル一眼レフだとかハッセルブラッドなんかは重くて大きいので、持ち出しが億劫になることがあるけど、ライカだとその億劫さが全然ない。
デジタル一眼だとかミラーレスは、換えのレンズも大きいので持てば持つほど荷物が膨れちゃう。ライカはボディもレンズも小さいので荷物も嵩張らないで済むのが良い。旅に出る時なんかはやっぱりライカがいい。
ライカ帰りの理由2: ファッションを邪魔しない控えめさ
全体の小ささに加えて曲線を最小限にとどめた四角い意匠のおかげで、着る服を邪魔しないのも良い。
ハッセルブラッドにしてもローライにしても、国産一眼レフにしてもカメラの存在感があり過ぎて、「写真撮って歩いている人」になってしまうのだけど、ライカだと「散歩のついでに写真を撮っている人」感が出て良い。ローライ35だとかもこんな感じ。粋なのである。
粋って概念は大切だと思う。無粋で野暮なのはとてもダサい。
ライカ帰りの理由3: 機械を使って自分の手で撮ってる満足感
小ささと控えめさだけならMerrill世代までのSIGMA DPもいいしfpも素晴らしい。実際DP1 Merrillを手放せない理由はこれだし、Mレンズのボディとしてfpが欲しかったりする。
じゃあなんでDP1じゃなくてライカを持ち出すのかといえば、この「自分の手で撮ってる満足感」なんじゃないかと思う。
DP1をマニュアルで使えばいいじゃないかと言われたらそれまでなんだけど、二重像を通してピントを合わせてシャッターを落とすという行為がとても主体的で満足感があるのがいい。機械任せの写真じゃないぞ、自分の腕と意思で撮ってるんだ・・・という満足感。
ライカ帰りの理由4: 触っていて気持ちいい質感
世間で言われるライカの質感。たぶんこれが決め手。
一時期使っていたベッサも素晴らしいカメラだけど、ライカが手元にあるとどうしても二番手になってしまう。理由は触った時の質感だとか、重量感だとかシャッターの感触のようなもの。これはもう感覚的な話になってしまうけど、ひっくり返しようのない絶対的な気持ちよさなのでどうしようもない。
ライカ高いからなーとお金をケチって他のレンジファインダーを買っても結局ライカに戻るからね…とはよく耳にするけど、あれは本当だから。
遠回りして余計にお金を使ってライカを買うことになるので、少しでもライカが気になっているんだったらさっさとM6なりM4なりを買ったほうがいい。M6は値上がりが酷すぎるので、新品MP買ったほうがいいような気もするけど。
ライカ帰りの理由5: ちょうどいい画質
ライカだからすごい画質…なんてのは正直ないと思う。あれはオカルトだから。言えば言うほど痛い人になりそうなので、私は画質に関して触れないようにしている。
とはいえMレンズは素晴らしいものがある。近年流行のカリカリシャープな方向に振り切れるわけでもなくクラシックに振り切れるわけでもない中庸さがいい。
レンズの枚数を極力増やさない方針が良いのではないかと思うけど、そこらへんのところは詳しい人に論を譲りたい。
LEICA M6/Super-Angulon 21mm F3.4/KODAK Tmax400
色々理屈を並べ立ててみたけど、しばらくするとまた「ハッセルブラッドすげえ!」とか「やっぱり国産一眼レフはいいなぁ」とか「ローライの美しさは唯一無二!」とか言って別のカメラを手にするんだから人間の業は深いもんだと思うんですね。
で、違うカメラをひとしきり使うとまたライカに戻ってしまう。そして私たちは「あぁライカっていいもんだなぁ」と呟くのです。
この記事の中で使ったフィルム&機材&欲しいもの
Fuji ACROS II
残念ながら廃盤となっなACROSの後継フィルム。驚くようなシャープネスは先代譲りだが、コントラストは先代より強くよりモダンな印象。最近ACROSIIばっかり使っている。
Silversalt Developer
SPUR社製の現像液。2019年にもなって新しいモノクロ現像液がリリースされることも凄いけど、トーンの美しさやモダンなシャープネス、使い勝手の良さが最高に素晴らしい現像液。。
LEICA MP
ニコンもキャノンもフィルムカメラの生産から手を引いてしまったけど、ライカは新造品のフィルムカメラをまだ作ってくれている。
ライカ社のえらい人曰くフィルムカメラの需要は高まっているので製造を続けるとのことだけど、ライカアラカルトのように突然終了する可能性もあるので買えるうちに買ってみたい。
Carl Zeiss C Biogon T*2.8/35 ZM
Summicron 35mmを使う人が多いのか中々持っている人がいないこのレンズ。作例やレビューを見る限りとてもシャープでコンパクトかつ造りも良いらしい。5群7枚という潔いレンズ構成も良い。製造が終わってしまう前に一本買っておきたいレンズ。