analogue life

フィルムが捉える世界は美しかった

Hasselblad 500C/Mが手元に届いた

ここ最近ハッセル欲しい病に罹っていたのだが、思わぬタイミングでコンディションの良いHasselblad 500C/Mに巡り合ってしまった。

ここ数年ライカを筆頭に良質な個体が、経済的に豊かになったアジアへ流出していると耳にするし、もしかしたら数年後には日本から良質な中古カメラが無くなってしまうかもしれないという強迫観念も手伝ってこの1974年製の500C/Mと1982年製のPlanar CF 80mmを即断してしまった。

原則中古フィルムカメラは一点物の世界なので、良質な個体と目があったら買ってから支払い含めて悩むのが吉である。目の前に訪れた良縁はできる限り拾い集めたい。 

予想外に深かった中判フィルム沼

そもそも私はカメラマニアではないので機材が沢山あることに喜びを感じない。むしろ管理が面倒くさいので機材はシンプルにしておきたい。
フォーマットの追加やマウントの追加なんてもっての外だと思っていたのだが、うっかり手を出してしまったRolleicordで撮ったネガを眺めていたらズルズルと中判フィルムの沼に引きずり込まれてしまったのである。
中判フィルムの世界なんてフィルム自体も少ないしライカみたいな危険な沼もなさそうだしヘーキヘーキ…と思っていたら案の定その先にハッセルブラッド沼が待っていたというオチ。

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Rolleicord IV/Schneider Xenar 75mm/Fuji ACROS II 

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Rolleicord IV/Schneider Xenar 75mm/Kodak Tmax 400

ところでXenar 75mmの描写って凄くない?

1950年代中頃の設計なのに全然古臭くないし、むしろこんなにシャープにビシッと決まっちゃったら現代のレンズとの差なんて重箱の隅に残った黒豆の残骸程度なんじゃないかと思ってしまう。

Hasselblad 500C/Mを手にして思ったこと

随分と前置きが長くなってしまったが、人生初のHasselbladをお触りして感じたことは兎にも角にも重い、そして図体がでかいということ。おまけにシャッター音も想像以上に大きい。

数字の上ではNikon D一桁機と同じくらいの重量と図体なのだが、フィルムライカやRolleicordに慣れてしまった身体からしたら「やっぱり重い…」となること請け合いな質感である。アラーキーがHasselbladを指して鉱物的と表現したと耳にしたことがあるが、ダンベルを持ち歩いている気がしないでもないような物質感。

質実剛健でヘヴィデューティ。マッシヴでマーヴェラス。

camerafan.jp

外見はもうゴッツゴツなんだけど、一通りお触りした後フィルムを装填してスクリーンを覗いたら次の驚きが待っていた。なんの誇張もなくスクリーン越しの光が美しい。

だいぶ大げさな表現かもしれないけれど、スクリーンを通して眺めるこの世界はこんなに美しかったのかと暫くの間見とれてしまった。これはカメラ屋の中で品定めをしている過程では絶対にわからないポイントかと思う。 

Rolleicord IVとの住み分け

Hasselblad導入に関して一番懸念していたことは他の機材との住み分けだった。

前述の通り私は機材をたくさん持つことを好まないし使われない機材が不憫で仕方がないと感じてしまう。Hasselbladを買ったら他の機材がどうなってしまうのか一抹の不安があったのだけど、この点は全くの杞憂に終わった。なにせHasselbladの取り回しが鈍重なのである。

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Fuji X-Pro1/XF 35mm F1.4

こうやって並べてみるとRolleicordはiPhone11とほぼ同サイズだということがわかる。Hasselblad 500C/Mは一回り大きい。

重量を測ってみるとHasselblad 500C/MとPlanar CF 80mmの組み合わせは1.5kg程度。Rolleicord IVの約2倍も重量があるのでそもそも持ち出すときの用途というか、心構えがまるで違うのである。よし撮るぞ!…と決意表明がないと持ち出しづらいのである。

撮る対象だとか欲しい絵面が決まっている時、きっちりフレーミングしたい時はHasselblad。何も決まっていないけどプラプラ歩きながら中判で撮りたい時はRolleicord IV…という感じで、きれいに住み分けができそう。同じ120フィルムを使っていてもこの二つのカメラは全くの別物だと思ってよい。

Planar CF80mmの描写について

Hasselbladの80mmは絞らないとポヤンポヤンですよ…と前々から聞いていた通り、開放からF5.6くらいまでのCF Planar 80mmはとても甘く感じる。Hasselbladイコール硬めという印象で向き合ったりすると思いっきり期待を裏切られる感じで、むしろ開放からF5.6くらいまではRolleicordに付いているXenar 75mmの方がビシッと硬めに決まる。

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Hasselblad 500 C/M/CF Planar 80mm/Kodak Tmax 400

最初のフィルムを通して撮った一枚。F4くらいだったと記憶しているが現像して眺めて甘いなぁと感じた。やる気あんのかよレベルのポヤンポヤンではないけど、Hasselbladイコールビシッとシャープだと思うと度肝を抜かれる。絞り羽根は5枚なので光源の表現もIV型までのRolleicord(10枚羽根)の方が良いと思う。

 

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Hasselblad 500 C/M/CF Planar 80mm/Kodak Tmax 400

これもF4だったと思うが背景をきちんと整理すると、このレンズの柔らかさが活きてくると思う。 若干ピントの山を捉えきれていないことはさておき、この柔らかさがこのレンズの特徴かと思う。

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Hasselblad 500 C/M/CF Planar 80mm/Kodak Tmax 400

茂みから覗く東京港。絞るとこんな感じで期待通りにビシッと写る。

 

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Hasselblad 500 C/M/CF Planar 80mm/Kodak Tmax 400

一方で夜のストリートを撮るのは結構難しいかもしれない。

F4より開けるとフワッフワだしミラーショックもあるしシャッター音も派手なので、夜の街撮りはRolleicordの方が絶対的に良い。開放から使えるしシャッター音なんて1/10くらいだしね。

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Hasselblad 500 C/M/CF Planar 80mm/Kodak Tmax 400

割り切って使えば夜の街でも全然いけそうだけど、この辺はもう少し弄ってみながら考えてみることにする。 

Hasselbladの購入に関して

もしかするとHasselblad購入を考えている人がいるかもしれないので、私が500C/MとCF Planar購入に至った簡単なメモを残しておく。

細かいモデルの分類や特徴はリンク先を参照いただきたいのだが、今回Hasselbladを導入にするにあたり最後の最後まで500C/Mと503CXで悩んだ。

結局500C/Mに決めた理由は、500C/Mの方が製造年代的にオーバークオリティ気味にきちんと作られている個体が多かったことと、503系は内部のパルパス材の割れがほとんどの個体で起きており、修理が不可能だったり修理をしようとするとかなりの出費になること、パルパス材がなくても内部反射の度合いはあまり変わらないことだった。

500系は望遠をつけると蹴られるのが欠点だと言われたけど、自分の用途だとそこまで極端に望遠を使わないので年式は古いものの堅実な作りの500C/Mとした。

hrkjournal.hatenadiary.com

一方、レンズは初めからPlanar 80mmと決めていた。

初めは堅実なモノづくりの時代に作られたレンズが欲しかったので、上記の500C/Mと同年代に製造されていたC Planarを探していたのだが、どうにも良い個体に巡り会えなかったことと、シャッターユニットの耐久性に問題がありそうだったのでC Planarの次世代に当たるCF Planarとした。

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Planarの年代による違いはコントラストや色乗りだと言われているが、絞ってしまえばあまり変わらないんじゃないかと思っている。一方でCFでも開放付近はポヤンポヤンなので、これがC Planarだったらもっとポヤポヤで、もしかしたら買って早々Hasselbladに愛想を尽かしてしまったかもしれない。