フィルム写真が復興している予兆
先日某量販店で若い子がフジ記録用100を机に並べて店員さんに「CDに焼いてください」…なんて注文をしている場面に遭遇した。その数日後にフィルムを買いに入った小売店でお会計を待っていたら、これまた若い子がフィルムの装填方法を店員さんから教わってる場面に出くわした。あまり実感はないんだけど、着実にフィルムカメラは復興しているのかもしれない。
Google Trendで過去5年間の「フィルムカメラ」の検索推移を調べてみると、フィルム写真が少しずつとはいえ確かに検索ワードの上昇トレンドに入っているし、同様に「Film camera」で全世界を対象に過去5年間の推移を見てもやはり同様のトレンドのようだ。爆発的なブームなんてロクなことがないので、このままじわじわと上げトレンドが継続して、どこかでデジタル写真とフィルム写真の均衡点に達してほしい。
そんなほのかな願いを込めて、まさか2019年にもなってフィルム写真を始めようと思う人に向けてささやかな記事を書いてみようと思う。
フィルムカメラはどこで買う?
キャノンがフィルムカメラから撤退してしまったので、現在新品でフィルムカメラを買うとしたらNikon FM10かF6かライカMPかライカM-Aくらいしか選択肢がない。一番安いFM10でもボディだけで4万円前後でF6が27万前後。ライカはいずれも60万程度なので、軽い気持ちで「取り敢えずフィルムカメラを使ってみたい」人は中古を探すのが良いと思う。
東京周辺なら銀座新宿界隈を中心に、レモン社やスキヤカメラ、マップカメラやラッキーカメラ等々優良な中古カメラ屋がひしめいているのだが、実際に一軒一軒眺めて回るのは相当時間がかかるので、Camerafanさんでこれらの店の在庫を一網打尽に検索してからお店に向かうのが良い。
もし既にNikonやCanonのレンズ資産を持っていて、AFのついた便利カメラをお探しの場合はF-801だとかF-80D、EOSシリーズを探してみるといいかもしれない。F-80Dとかなら1万円未満でボディが買えるので、Portraなんぞを詰めて最新のナノクリレンズを使ったら面白いかと思う。Nikkor 58mm F1.4とか絶対面白い。
フィルムはどこで買おう?
KodakのPortraやEktar、フジのProHやIlfordあたりならまだ都内の量販店で買える。最近はビックカメラでArista Edu(中身はFomapan)を置いてたりするし、初期衝動に任せて気になるフィルムを調達する場所としては良いと思う。
運悪くフィルム沼にハマってFomaやAdox、フジ記録用やCinestillのフィルムが欲しくなってしまった場合はかわうそ商店さんかSilversaltさんから仕入れることになるが、神奈川方面に住んでいる幸運な方はカメラはスズキさんと云う素晴らしすぎる店が横浜駅ジョイナスの中と元町にあるので、実写サンプルと豊富な在庫にまみれて買い物をすることができる。500円払えばフィルムガチャもできたりする。
気の毒にもフィルム沼にずぶずぶと嵌り月に何本もフィルムを消費するようになった方はB&Hに行くしかない。レートにもよるがKodakやIlfordのフィルムであれば信じられないような価格で買える。Adoxはなぜか日本で買ったほうが安い。
フィルムも安いがライカはじめ写真機材も安いので、気がついたらすごい買い物をしている可能性すらある。
1USDが100を切ったら…と思うとポチりたくなっちゃうかもしれない。
現像はどうする
まずは量販店で現像をお願いすればいいと思う。量販店でも小規模のお店でも現像とフィルムスキャンを同時にやってくれるので、予算が許せば現像とプリントとスキャンをお願いしてフィルムの味を比べてみると面白い。
ことKodak純正現像に関してはモノクロネガならフォトラボオクダ(Lab21)さん、カラーはKJイメージングさんがリーズナブルかつ丁寧な現像をしてくれるのでお勧めできる。しかもフィルムを郵便で送って現像をお願いすると現像完了後にレターパックでネガを返送してくれるので、とてもありがたい現像所である。
何かの不運でモノクロリバーサルフィルムの美しさに目覚めてしまった貴兄は、さらに現像所の選択肢が限られてくる。この美しいモノクロフィルムに嵌ってしまった場合は麻布の田村写真さんかSilversaltさんのモノクロリバーサル現像サービスを利用するしかない。Tri-Xの純正現像の2-3倍程度の費用がかかるけど、個人的にはこの泥沼に是非嵌って頂きたい。現像から上がってきたフィルムを光にかざすと、そこには驚くべき精緻な世界が広がっている。
自宅スキャンするのも悪くない
量販店だとかネット現像所でフィルムスキャンを依頼すると、大体現像代プラス500円くらいでやってくれるのだけど、スキャニングの質だとか料金を考えるとお店には現像のみお願いしスキャンは自宅でやってしまうのも悪くないと思う。
我が家ではPlustek 8200aiでTIFFにスキャンした写真をlightroomでjpegに変換しflickrに上げている。このスキャナに付属するSilverfastと云うソフトの出来の良さに甚く感銘を受けている。業者のスキャンと比較しているので是非見比べてほしい。
踏ん切りがつかない貴方に進める使い捨てカメラ
フィルムカメラが欲しいけどどうにも踏ん切りがつかない。そんな貴方は使い捨てカメラをお勧めする。使い捨てカメラと云うとフジの写ルンですが思い浮かぶけど、世の中にはIlfordのフィルムを詰めた使い捨てカメラだとか、Lomoのフィルムを詰めた使い捨てなくてもいいカメラだとかが売っていたりする。特に後者のLomoは予め詰めてあるフィルムが使い終わったら、フィルムを詰め替えて使えるスグレモノ。
2019年なったしこの機会にフィルムカメラに挑戦したいけど、いまいち踏ん切りがつかない。そんな貴方に是非使って欲しい。