すごい店を見つけた…と云うか自分の生活圏から離れた場所が故に今まで気が付かなかっただけの話なのだけど、相鉄横浜駅ビルであるジョイナスの一角にある「カメラはスズキ」さんのことである。「カメラ”の”スズキ」の誤植なんじゃないかと思ったが、どうもこの店名で正しいらしい。
カメラと言えばスズキ。スズキと言えばカメラ、例外は認めないと云ったこの語感。「の」を「は」に変えただけなのにパワーを感じる。
横浜駅ビルの1階はDIESELだのAmerican Eagle Outfittersだの、資本力溢れる店がこれでもかと入っているのだが、その終端にカメラのスズキさんがある。そしてカメラのスズキさんを境に急に世界が昭和に逆戻りする。相鉄線改札口から先の横浜は県外の人が思い描く横浜とは別世界の横浜だ。
店構えを遠くから見ただけだと、パレットプラザっぽい感じなのだが、店先に積んである富士記録用100のバラ売りにただならぬ気配を感じて一歩店内に入って驚いた。
ローライのフィルムがほぼ全種類とフォマパンRもあるし、AdoxのScalaもSilvermaxもCMS-20もある(Adoxのフィルムを店頭で売ってるの初めて見た…)し、CinestillもあるしPortra160/400のバラ売りまでしてくれる。さらに駄目押しで各フィルムの撮影サンプルまで置いてある。
ちょっと奥に入ると、リコーフレックスや海鷗4型、ライカフレックス、ニコマートが置かれているのだが、うっかり海鷗を手に取りそうになってしまった。漢字で海鷗なんて書いてある二眼レフって素敵じゃん、みたいな。シーガルってのじゃダメなのよ。漢字がいいのよ。
この店のフィルムの品揃えは、目と鼻の先にあるヨドバシ横浜なんか目じゃない。あっちはあっちでケントメアくらいまでは置いてるけど、CinestillだのAdoxなんて置く気配すらないものね。
これからフィルムカメラを始めたい横浜住みの人は、急いでここに駆け込んで安いニコマートと好きなフィルム買えばすぐに始められる。素敵じゃないか。ライカとかローライが欲しくなったら桜木町の大貫カメラに駆け込めばいいわけだし。
フィルムカメラが絶滅一歩手前でどうにか首の皮一枚繋がった状態で生き長らえているこのご時世、横浜駅の駅ビルなんて洒落乙な立地でこんなにたくさんフィルムを扱っている店があったなんて、もう驚きなのである。