ズマロンってこんなに高かったっけ?
仕事中にマップカメラのサイトを眺めて驚いた。ズマロン35mmってこんなに高かったっけ?ズミクロン35mmの中古かなと思い二度見したけど、やっぱりズマロン35mmの中古だった。マップカメラの中古レンズの値付けは高めだけど、それでもちょっとやりすぎな価格帯。F2.8が極端に値上がりしている一方でF3.5はあまり変わっていない。
去年あたりまでズマロン35mmの相場は10万円前後、結構いいコンディションのものでも15万程度だった印象があるので20万超えてくるとはちょっと驚いた。さらに驚いたことに、このスクリーンショットを取った10日後にもう一度マップカメラのサイトを見たら2本も売れてるの。もう20万積んで現行のズミクロン買ったほうがいいじゃんって思うんだけど。
Bessa R3A/Summaron 35mm F2.8/Fuji Acros
ズマロン35mm F2.8は本当にいいレンズで、アクロスみたいなフィルムで撮るとそりゃもうビシッとディテールまで決まる。それでいてこの時分のライカらしく、恐ろしく作りが丁寧なレンズが10万そこそこで買えるというところが素晴らしかった。
アジア成金とフルサイズミラーレス普及の合わせ技
この急な値上がりは、最近裕福になってきたアジア勢が買い占めてるんだなくそうちくしょう…なんて思っていたのだけど、どうもフルサイズミラーレスの普及も原因の一つらしい。ミラーレス以前に最近のデジカメに全く興味がなくなってしまったので、こんな時流になっていたなんて全く知らなかった。
今後、中古を含めフルサイズミラーレスが買いやすくなるほどオールドライカレンズは相場が上がっていくと思う、というか今でもズマリットやズマールはかなり相場上がってるから、現行レンズより優先的に確保したほうがいいかもしれない。— テヅクリ (@tedsukuri) November 17, 2018
昨日中古カメラ屋の人と話してたけど最近ライカの古いレンズは状態いいのが減ってきて値上がりしてきてるみたいだし買えるなら今の内に確保した方がいいのかも。
M3とかバルナック辺りも値上がりしそうな気がしてきた。
ニコキャノのミラーレス出たらマジで手が出ないくらいになってたりしそう— モノクロのだいき (@magspice14) August 22, 2018
フルサイズミラーレスの登場で古いレンズの相場上昇を嫌悪する人達がいるが、値下がりして売っても無価値で死蔵していた人達が値上がりによって手放して市場に流通するので割りと歓迎している。
— tatu500 (@tatu500) November 17, 2018
キタムラがご丁寧にこんなページまで用意しているところを見るに、ミラーレスとオールドレンズの組み合わせは一部の道楽者の間での流行りではないのだと思う。ちょっと前ならSONYのA7だけだったこのセグメントには、今やNikon Z7/Z6やCanon EOS Rが参入しているので、オールドレンズで遊ぶ人も増えてるのかもしれない。
きちんと修理できる人が少ないであろう大陸に素晴らしいレンズが流れていってしまい、壊れたらぽいっと捨てられてしまう(であろう)ことを思えば、素晴らしいレンズ資産が国内でぐるぐる回ることは悪くないのかもしれないなぁ、と思う一方でフルサイズミラーレスにオールドレンズを合わせるという人の気持ちがあまり解らない。現行のレンズの方が性能はいいだろうし、ボケ味なんて絶対現行の方がいいに決まってる。
Batis 2/40なんて24cmまで寄れるし解像するしボケは気持ちいいし、だいぶ図体がでかいけど、大きささえ我慢できればズマロンに20万円突っ込むより満足感あると思うんだけどなー。
コンパクトなMFレンズならフォクトレンダーの40mm F1.2も魅力的。点光源ボケなんてライカのレンズよりも絶対こっちだよな、と思ってる。もし自分がA7買うことになったらズマロンじゃなくてノクトン40mmを買うな。間違いなく。
せっかくオールドレンズを買うならフィルムカメラも買えばいいのに。
オールドレンズを味わう時にフルサイズミラーレスと組み合わせるのは確かに便利かもしれないけど、そんな貴兄にはぜひフィルムカメラも合わせて購入して、オールドレンズとフィルムの組み合わせも味わって頂きたいと思うのである。せっかくの道楽なんだから徹底的に。
デジタルのセンサーなんて会社ごとモデルごとに差はもちろんあるけど、初期のFoveonを除けば似たり寄ったりの画が出るようになってるんだし。数字で表されるスペックの進歩はあれど、個性という面では特筆すべきセンサーは(ほぼ)ないと思う。
Bessa R3A/Summaron 35mm F2.8/Adox SCALA
そこのところフィルムの世界は個性豊かである。このAdox SCALAなんて繊細かつ重厚感ある黒の諧調が美しいし、リバーサル現像したフィルムを光にかざした時に見える繊細かつ立体感ある画は感動的ですらある。
Bessa R3A/Summicron 50mm F2/Kodak Ektar
コダックのエクターもしっとりとしたいい画を出すフィルム。デジタルで撮ってRAW現像時に追い詰めたりVSCO噛ませたりすれば似たような感じに仕上がるけど、やっぱりオリジナルのフィルムで撮ると質感が違う。明暗が飛んだり潰れたりもないし。
Bessa R3A/Summaron 35mm F2.8/Kodak Ektachrome
コダックはエクタクロームを復活させた。生産数が少なかったからなのか、ヨドバシは即日完売。B&Hもバックオーダーになっていて再入荷は12月予定。コダックアラリスのツイート曰くフィルムの需要は増えているみたい。この調子だ。
あくまで当社の場合ですが、日本を含む世界各国でカメラフィルムの需要が増えてます。既存ご利用者様の根強いご利用に加え、フィルム撮影のご経験を持たないデジタルカメラご利用層が、新たな表現方法としてフィルム写真にチャレンジされる機会が増えているとの認識です。 https://t.co/tBa9vsh178
— コダック アラリス ジャパン 公式 (@kodakalaris_jp) November 7, 2018
Bessa R3A/Summicron 50mm F2/Adox Silvermax
Adox SCALAとなぜか中身が同じ(らしい)Silvermaxも素晴らしい。像の皮膚のシワの質感までくっきり浮かび上がる解像感。SCALAと同じように黒の諧調も素晴らしい。 デジタル全盛のこの時勢においても、フィルムの新製品を開発販売し続けるこのドイツの企業には頭が下がる。
とはいえ、中古レンズとカメラがこれ以上値上がりされると困るのである。
ミラーレスにオールドレンズを合わせている貴兄には、ぜひフィルムカメラを買って、じゃんじゃんばりばりフィルムを消費して頂きフィルムの価格を下げて頂きたいと思うのであるが、これ以上レンズとカメラの値上がりが続くとそれはそれで正直困る。
困る困ると嘆いたところで、オールドレンズやフィルムカメラは生産をしていない以上玉数に限りがあるので、昔以上に「探しているものを見つけたら買う」という見敵必殺の精神で中古屋に向かわなければならない状況が続くのだろう。少なくとも35mmと50mmは需要がしばらくありそうなので、ここら辺の焦点距離のオールドレンズが欲しい人はちょっと急いだ方がいいのかもしれない。
あくまでマップカメラの価格設定ではあるけれど、ズミクロン50mm F2も凄いことになっている。価格差が3-5万の中古レンズって買う意味あるんだろうか。ズマロン同様、本末転倒感が凄い。
随分前からライカMPかM-AかM6かM4のどれかで悩んでいる件もそろそろ決めなきゃなぁ…。エルマリート90mmも買わなきゃなぁ。